我慢の限界に達したメッシが放った強烈な一言――そこには意を決した姿があった【現地発コラム】

2020年02月13日 エル・パイス紙

メッシが新たな相棒に指名したのが…

自身の発言が大きな影響をもたらすことを知ったうえで、メッシはアビダルTDに向けて強烈な言葉を……。(C) Getty Images

 どんなにプロ化が加速しても、どんなにスーパースターが一般庶民の手の届かない存在になっても、フットボールの原点は変わらない。リオネル・メッシはそんなこのスポーツが本来持っているプリミティブな魅力を体現する代表的な選手の1人だ。

 規格外のセンスについては異論を挟む余地がないが、そのうえで、ピッチでエモーションを共有することができる仲間を持つことが勝利への一番の近道であることを直感的に理解してプレーしている。

 メッシにとって最良の相棒はルイス・スアレスだ。彼にとってこのウルグアイ人FWはチームメイトという以前に、全幅の信頼を寄せる大親友である。その強固な信頼関係が後押しし、試合中においてもふたりの間には異空間のような空気が醸成されている。

 ボールを介してお互いが認め合い尊重し合い助け合い、唯一無二のコンビを形成している。ゴール前でパスかシュートかの二者択一に迫られた時、自らが得点を決めてヒーローになるよりも、アシストして相棒にその栄誉を譲ることを優先する。もちろんそのままゴールが決まると、自らが得点した時と同じように喜びを分かち合う。
 
 そのルイス・スアレスが長期欠場中のいま、メッシが新たな相棒に指名したのがまだ少年の面影を残すアンス・ファティだ。ふたりは補完性も高く、実に自然体でコンビネーションを奏でている。メッシがアンス・ファティをどれだけ可愛がっているのかはその1本1本のパスに込められた意図を読み取れば一目で分かる。

 そう、メッシのパスには様々なメッセージが内包されている。彼はアンス・ファティとパスを交換しながら、こう訴えているのだ。

「俺はこの少年にいつもそばにいてほしい」

 しかしピッチを離れると、メッシが放つメッセージは時に強烈な一撃を浴びせる。

「多くの選手は(エルネスト)バルベルデに満足していなかった。努力が十分でない者もいた」

 先日、エリック・アビダルのこの発言が大きな物議を醸した。言葉をそのまま額面通りに受け取れば、選手たちはバルベルデが続投することを望んでおらず、その結果、練習に身が入らない状態だったと解釈できる。
 

次ページ普段は口数が少ないメッシがインスタグラムで反論

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事