U-23守護神はタイでの苦い経験にいま何を想うのか? 広島GK大迫敬介が追い求める今季のテーマとは?

2020年02月04日 松尾祐希

「これから先は結果にこだわらなくてはいけない」

広島GKの大迫が五輪出場へ意欲を見せている。写真:松尾祐希

 サンフレッチェ広島の大迫敬介は、今夏の東京オリンピックでU-23日本代表の守護神として期待される存在だ。ユースから昇格して3年目の昨季は開幕スタメンの座を掴み、弱冠20歳にしてJ1で29試合に出場した。

 その活躍はクラブだけに止まらない。5月にはA代表へ初選出。続く6月のコパ・アメリカで初キャップを刻み、Jリーグ発足以降のGKでは史上最年少で代表デビューを果たした。先月のU-23アジア選手権では全3試合に先発出場するなど、東京五輪世代で最も正GKに近い存在と言ってもいい。

 本人も1年の活躍を振り返り、こう話す。

「言い方は変かもしれないけど、去年は1年間通じて怖いもの知らずで、プレーしていたんです。うまくいく時もあれば、うまくいかない時もあった中で、A代表を目指していたけど、ここまで早い段階で選ばれるとは思っていなかったんです。なので、逆に招集された経験が自信になり、もっと成長してA代表に常に入り続けたいと思うきっかけになった」

 特に手応えを得ているのは、クロスへの対応だ。「いろんなことにトライしながら、自分が行けなかったところに手を出せるようになった」(大迫)。実際に2019年シーズンのクロスキャッチ率はJ1・1位の36.6パーセントを記録しており、その数字が成長の何よりの証だろう。

 とはいえ、すべてが順調に進んだわけではない。今から約3週間前、大迫はタイの地で苦い経験をした。

 開催国枠で出場が決まっている日本以外のチームは、五輪の出場権が懸かるU-23アジア選手権。その大舞台で正GKを務めたものの、チームは1分2敗でグループステージの最下位に沈んだ。

 自身のプレーは悪くなかったが、日本は未勝利。その現実に大迫も肩を落とした。だが、下を向いているわけにはいかない。この経験をいかにプラスに変えられるかが重要だ。大迫は言う。

「結果が付いてこなかったのでGKとして責任を感じている。これから先は結果にこだわらないといけない」

 チームを勝たせるGKに――。大迫にとって、それが今季のテーマとなった。

「勝ち癖を付けるためにも、自チームで良いパフォーマンスをして結果に結びつけることが大事。アジア選手権は悪くなかったけど、失点の仕方がよくなかった。ピンチは必ず1試合の中であると思うので、どんな時でも止め切れる選手になりたい」
 

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