プロ初得点も開幕スタメンにはまだまだ?注目ルーキー西川潤、冷静なスタンスで「今の立ち位置」に言及

2020年02月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

トレーニングマッチの長崎戦ではヘディングでネットを揺らす

トレーニングマッチで1ゴールを挙げた西川。能力の片鱗を見せた。写真:松尾祐希

 注目ルーキーがプロとしての一歩を踏み出した。

 桐光学園高からセレッソ大阪に入団した西川潤。高校3年生の昨季は特別指定選手としてJ1のピッチを経験するなど、入団前から期待を掛けられてきた逸材だ。7節の札幌戦に出場すると、ルヴァンカップでは2試合に出場してアシストを決めた。

 その活躍はJだけに止まらない。昨年5月下旬のU-20ワールドカップに飛び級で選出され、昨秋のU-17ワールドカップでは4試合に出場して2ゴールを奪取。圧巻だったのは初戦のオランダ戦で、2つの鮮やかなスルーパスからゴールをお膳立てし、自らもPKでネットを揺らした。その活躍が認められ、1月にはスペインのバルセロナが獲得に動くと報道されるなど、ルーキーとは思えないほど周りが騒がしくなっている。

 そうした喧騒によそに、西川は地道にプロの世界で戦うためにトレーニングに励んできた。そして、2月2日に行なわれたV・ファーレン長崎との練習試合(45分×2本)。今まで地道に取り組んできた成果が実を結んだ。

 サブ組中心で臨んだチームにおいて、西川は4−4−2の右サイドハーフで先発出場。序盤から積極的に仕掛けると、2分にいきなり見せ場を作る。右サイドでボールを受けると、ハーフウェーライン手前から単独突破。キレのあるドリブルから最後は得意の左足でシュートを放った。続く9分には体勢を崩されながらもゴール前でDFを剥がし、左足でフィニッシュ。いずれもゴールに結び付かなかったが、主力組が顔を揃えた長崎のディフェンス陣を慌てさせた。

 以降も高い位置でボールに触りながら、良い形で攻撃に絡む。課題の守備でも的確なポジションを取り、周りと連動しながら効果的なプレスで相手の自由を奪った。良いリズムでプレーを続けると、この試合最大の見せ場が訪れる。40分だ。左サイドから小池裕太がクロスを入れると、2列目から中央に飛び込んだ西川が頭でネットを揺らしたのだ。始動後3度目の練習試合で生まれた初ゴール。笑顔が溢れ、安堵の表情を浮かべた。

 後半は4バックから3バックに変更した長崎に苦戦。良い形でボールを受けられず、ゴール前でチャンスに絡む回数は限られた。だが、パスを受ければ、高卒ルーキーとは思えない落ち着きぶりを見せる。パス、キープ、ドリブルを状況に応じて選択するなど、押し込まれた展開を物ともしない冷静な判断力が光った。惜しくも後半に2点を奪われ、チームは逆転負け。だが、西川にとっては、プロとして戦う自信を得る一戦になったのは間違いない。

 試合後、本人も長崎戦のプレーに手応えを得た様子だ。
「一つひとつ積み重ねて、自分の良さを出すためにやって来たので、3試合目で結果を出せた。前回の試合でクロスへの入り方が課題だったので、しっかりとボールに合わせて得点に直結するプレーができたので良かった」

 2日の練習試合をもって宮崎キャンプは終了。プロとして初めて迎えた合宿を振り返ると、序盤は苦戦を強いられた。アンヘル・ロティーナ監督の細かい守備戦術への適応に苦しみ、戦術を理解する作業で手一杯。それでも、日を追うごとに理解度を深めたのは並のルーキーではない。

「去年とはまた違う守備のスタイルを教えてもらっていますけど、そんなに戸惑いとかはない。頭の中をしっかりと整理してやれている」

 西川の言葉からも充実感が窺えた。

次ページレギュラー争いでは山形から加入の坂元がリード

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事