対戦相手MFは生粋の東京ファン!? ACLプレーオフ、FC東京に挑むフィリピン王者の正体とは?

2020年01月25日 佐々木裕介

大型補強を施したタイのクラブ相手に1-0で逃げ切る

セレス・ネグロスの中盤を支える嶺岸と小田原。東京ではどんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。写真:佐々木裕介

 3週間前、元日にヴィッセル神戸が天皇杯を掲げてシーズンを締めくくった余韻も冷めやらぬなか、もう新シーズンの幕開けが近づいている。今月28日、FC東京と鹿島アントラーズがACL本選出場を懸けてプレーオフに挑む。

 21日、タイ・バンコクで行なわれたACLプレーオフ予選2回戦。ポートFC(タイ)対セレス・ネグロスFC(フィリピン)戦を取材した。

 試合は、ポートがボール支配を強め攻撃する時間が続くなか、セレスは2列の守備ブロックを崩さず守る、膠着状態が続いた。しかし51分、CKから試合が動く。"セレスの心臓"MFシュテファン・シュレック(フィリピン代表)からのクロスを、ポートGKのウォラウットがファンブルしてしまい、ボールはそのままゴールへ。

 ホームで負けられないポートは、タイ代表選手や外国籍助っ人を並べ前線を厚くして攻め立てるが、セレスは得点を許さなかった。虎の子の1点を守り切ったセレスがアウェーマッチを制し、FC東京への挑戦権を獲得した。

 このオフシーズンに大型補強を断行したポートだけに、この日の勝利は容易いだろうと勝手に思っていた。しかし蓋を開けてみればノーゴールでの敗戦。名高い選手を揃えても連係なくしては難しかった。

 一方、ポートとは裏腹に、阿吽の呼吸を見せたセレス。3季連続でフィリピン・フットボールリーグを制している絶対王者だ。

 チームを指揮するのはセルビア人監督、リスト・ヴィダコヴィッチ。選手時代は"赤星"FKツルベナ・ズベズダをはじめ、ベティスやオサスナといったスペイン名門クラブでもプレー。引退後はスペインやホンジュラスでの指導を経て、16年7月よりセレスを指揮している。

 そんな"国内最強クラブ"で、ふたりの日本出身選手がプレーしている。"日比ハーフ"フィリピン代表のMF嶺岸光と"東京生まれ東京育ち"のMF小田原貴だ。

 この日、左サイドで幾度となく攻撃の起点となっていた嶺岸は試合を振り返り、また次戦への意気込みを語ってくれた。

――おめでとうございます。快勝でした。

「いや、結構きつかったですよ(苦笑)。ただ守備に追われながらも"やれるな"という感触はあったので、最後の質だけ上げればいけるんじゃないかとは思ってやっていました」

――守備重視からのカウンターがハマりましたね。監督の指示通りの試合運びだったのではないですか?

「そうですね、相手をリスペクトしながらも、球際はがっつりと、またカウンター攻撃を意識しようと。アウェーだったので、ラインは下げてブロック作りながら、最後で跳ね返せれば良いという判断でした」

――次は東京での試合です。あとひとつですね。

「Jリーガーになりたくて、日本代表になりたくてサッカーをやってきたなかで、多くの日本代表選手を抱えるFC東京と公式戦で戦えることは幸せなことではあるのですが、東京へ観光に行くつもりはありません。しっかり準備して勝利を意識した戦いをしたいと思っています」

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