相手エースも頭を抱えるスーパープレー! 青森山田守護神、佐藤史騎が明かしたビッグセーブの舞台裏【選手権】

2020年01月12日 安藤隆人

「思わずガッツポーズが出るくらいの快心のプレーでした」

写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[選手権準決勝]青森山田2-1帝京長岡/1月11日/埼玉スタジアム

 試合の行方を分けるビッグプレーだった。青森山田の2点リードで迎えた65分、帝京長岡のエース晴山岬がペナルティエリア内でボールを受けて完全フリーに。至近距離からの左足のシュートをGK佐藤史騎(しぶき)が完全に読み切って、左手一本のファインセーブで阻んだ。

 誰もが「入った!」と思った決定的なシュートだった。しかも晴山のシュートの前のプレーは、右からのクロスが流れたところを左から勢いよく走りこんできたDF吉田勇介が放ったミドルシュート。このシュートに佐藤は一度反応していたが、そのシュートを遮るように目の前で晴山がワントラップした瞬間、もう一度重心を立て直して構えたからこそ、冷静に晴山のシュートモーションを見て反応することができた。

 打った晴山自身も止められた瞬間、「マジか!?」と叫び、頭を抱えるほどのスーパープレー。2点はリードしていたが、47分にMF松木玖生の追加点の後はずっと帝京長岡ペースで、もしこのプレーがなかったら、帝京長岡はエースストライカーのゴールで1点差に迫り、さらに勢いに乗っていただろう。

 加えてこのプレーで佐藤自身が乗った。直後の67分、左CKから強烈なミドルシュートを浴びるが、正面に飛んできたボールを身体で包むようにキャッチ。一見簡単そうに見えるプレーだが、このミドルシュートは無回転でゴールに向かって揺れながら伸びてくる軌道だった。さらにシュートが放たれた瞬間、帝京長岡のFW2枚が詰めようと佐藤にプレッシャーをかけていた。キャッチかセーフティーに弾くか難しい判断の中、彼は軽くジャンプをして吸収するようにキャッチ。これもスーパープレーだった。

 77分にはMF田中克幸に鮮やかなドリブルシュートを決められてしまったが、そのシーン以外はどんなに帝京長岡に揺さぶられても佐藤はゴール前にどっしりと構え、同点ゴールは許さなかった。

 追いすがる帝京長岡を2-1で振り切り、2年連続となる決勝進出を果たした青森山田。間違いなく佐藤は立役者のひとりとなった。

「(65分のスーパープレーは)晴山選手の動きが冷静に見えていた。思わずガッツポーズが出るくらい快心のプレーでした。67分のプレーは無回転だったのでキャッチに行くか迷ったのですが、相手が詰めに来ているのも分かっていたので、キャッチングを選びました」
 

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