「四中工魂」を体現した逆転劇!チームの期待を受けキャプテン森が放ったドライブシュート【選手権】

2020年01月02日 渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

田口と森は1回戦に続いてアベック弾!

森夢真が放ったドライブシュートが決勝点となった。写真:徳原隆元

[高校選手権2回戦]松本国際1-2四日市中央工/1月2日(木)/フクアリ

「四中工魂という言葉があって、粘り強く逆転するという伝統がある」と語るのは、小倉隆史氏らが背負ってきた、伝統の17番を背負う田口裕也(3年)。まさにその伝統を体現したような試合展開だった。

「前半は相手が想定外の動きをしてきて、それに対応する前に失点してしまった。ただ、ハーフタイムに建て直し、今年のチームの成長した部分を発揮できたと思います」

 そう振り返るのは今季からチームを引き継いだ伊室陽介監督。前半20分に松本国際の9番、小林丈太郎(3年)に得点を決められ0-1のビハインドでハーフタイムを迎えた。

 新チームでは選手同士での話し合いの場を増やし、ハーフタイム中のミーティングの時間を増やしたという。特に前半やられていた右サイドは、「自分たちのプレーができていない。当たり前のことができていなかった。プレーがひとつで終わっていたり。みんなで指摘し合って修正できて、後半は守備を固められた」と副キャプテンの鐘ヶ江秀太(3年)が語ったように後半を無失点に抑えた。

 1回戦に続いてアベック弾を叩き込んだのは、昨年の選手権に2年生で出場していた攻撃のキーマン2人だった。

「相手も180以上ありましたけど、空中戦でも負けるつもりはなかったです。ただ、裏への飛び出しとか、そういう部分ももっとできると話し合っていました。そこは(ハーフタイムの)ミーティング後に、後ろの選手にも伝えて、狙い通りの素晴らしいパスが来たので、最後は決めるだけでした」(田口)

 後半2分に宮木優一(2年)からのパスに抜け出した田口が決め1-1と振り出しに戻すと、監督も「森とともに心中するつもり」と語るほど、チームの期待を受けていた10番が魅せた。

「後半からはポジションも流動的にして、より攻撃に絡めるようにしていました。自分の持ち味のドリブルなどは思ったように良さを出せませんでしたが、得点のシーンは狙い通り。GKの位置が前に出ているのは分かっていたので、ドライブをかけることを心掛けて打ちました。シュートは100点です」と森夢真(3年)も振り返る。

 ディフェンスラインを高く保っていた松本国際の虚をつく、森の弧を描くミドルシュートが決まり後半の24分に2-1と逆転に成功した四日市中央工はその後も前線からのプレスを緩めることなく勝ち切った。

 キャプテンを決める時に2人が候補に上がっていたという。「夢真が自分のプレーでチームを勝たせるとキャプテンに立候補したんで、任せました。僕らはそれを信じて守るだけ」と副キャプテンになった鐘ヶ江は語る。

 その責任感をもって「今日の試合はまだまだ課題しかない」と語る森。プロ入りを目指す10番はまだ進路が決まっていない。

「就活のつもりでやってこい!」と監督も語るように翌日行なわれる3回戦でもチームを勝たせ、更なる活躍を見せられるか。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)
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