【鹿島】2019年シーズン、無冠。土居聖真は言った。「“常勝鹿島”と言われるのも終わり」

2020年01月02日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「今シーズンの成績を踏み台にするぐらいの気持ちでやらないと」

コンディション不良で神戸との決勝戦は途中出場だった土居。要所でプレーに絡み、チームの攻撃に勢いをもたらす働きぶりを見せたが、優勝に導くことはできなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[天皇杯決勝]神戸2-0鹿島/1月1日/国立

 結局、2019年シーズンの鹿島アントラーズは無冠に終わった。

 ヴィッセル神戸との天皇杯の決勝戦を前にして、ふと思う。「8→4→3→?」。次に来る数字は何か。

 答えは「2」だった。残念ながら「1」ではなかった。

 連覇を目指したACLはベスト8で敗退。ルヴァンカップは4強入りも川崎フロンターレに決勝進出を阻まれた。J1リーグは3位でフィニッシュ。いずれも優勝できていないが、着実にタイトルに近づきつつある。ラストチャンスは、ファイナルに駒を進めた天皇杯。だが、結果は0-2の完封負け。常勝軍団としての面子を保つことはできなかった。

 一時は4冠を狙える位置にいたが、ひとつのタイトルも手にできなかった。すべてのコンペティションで上々の成績を収めたという見方もできるが、「僕らはそういうチームじゃないんで」と土居聖真はきっぱりと言った後、こう続けた。

「もう、なんだろうな……個人的には、"常勝鹿島"って言われるのも終わりだと思っています。また違った立場で、鹿島はサッカーをしなければいけない」

 2018年シーズンに悲願のACL初優勝を飾り、節目の「20冠」を達成した。同年、多くのタイトル獲得に尽力したレジェンド小笠原満男が現役を引退。翌19年は「鹿島にとって、また違った区切りというか、変わらなければいけない時期」(土居)でもあった。
 
 そんな重要なシーズンで、国内随一の常勝軍団は、改めてタイトルを獲る難しさを痛感したのではないだろうか。「優勝」の二文字がおぼろげながら見えていても、ここぞというところで伝統の勝負強さを発揮できず、頂点に立てなかった不甲斐なさは否めない。だからこそ、土居は「這い上がっていかなければいけない」と表情を引き締める。

「満男さんはたくさん優勝させてきてくれた人ですけど、優勝できなかったシーズンもあるわけで。そうやって、もがいていたと思うし、だから、今シーズンの成績を踏み台にするぐらいの気持ちでやらないと、強い鹿島は続いていかないだろうし、強い時代は来ないと思う」(土居)

 2020年シーズンはチャレンジャーとして、失地回復を期す。リーグ戦でもカップ戦でも、とにかくタイトルをひとつ掴んで、常勝軍団の肩書を取り戻す一歩としたい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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