指揮官も絶賛のゴラッソで決勝点!神戸弘陵の1年生アタッカー・田中祉同は去年の“染野唯月”を目指す!!

2020年01月01日 竹中玲央奈

自らのミスが発端となった失点をゴールで取り返す

秋田商戦で決勝点を挙げた神戸弘陵の田中。カットインから豪快に右足で叩き込んだ。写真:滝川敏之

[高校選手権1回戦]神戸弘陵3-2秋田商/12月31日(火)/ニッパツ

 先制しながら前半のうちに一時は逆転されたものの、後半は完全に主導権を握った。相手選手の退場も追い風となり、2ゴールを挙げ逆転勝利。神戸弘陵が前回大会ベスト8の秋田商を下し、2回戦へと駒を進めた。

 このシーソーゲームの中でチームを勝利に導くスーパーゴールを決めたのは、スタメンの中に唯一1年生で名を連ねた田中祉同だ。

 秋田商の最前線へロングボールを配給する攻撃やセカンドボールに対する寄せの速さに対し、強い向かい風も相まって神戸弘陵は後手を踏んだ。なかなかゴール前までボールを運べず、ストレスフルな時間が続いたが、この局面を打開したのが田中のドリブル突破だった。左サイドから中央へ仕掛け複数人を置き去りにしてシュートを放つと、DFに当たってこぼれたボールを徳弘匠が押し込む。しかし、チームはその後、前半29分、同34分と立て続けに失点。34分の失点は田中のボールロストが呼び込んだものだった。

 大舞台で、自らのミスで逆転弾を献上。まだ前半とは言え、精神的なダメージは想像に難くない。しかし、田中の凄みはこのミスをも力に変える前向きで貪欲な姿勢だ。

「(失点は)自分のミスというのは分かっていたので。でもそこで下を向いてしまったら絶対に次につながらない。そこは上を向いて、どんどん仕掛けていって自分が点を取り返そうという気持ちがありました」

 事実、時計の針が進むごとに田中の積極性やボールタッチの回数は増えていく。主将の沖吉大夢と近い距離感を保って相手の守備網の隙間を縫っていき、得点の気配を漂わせた。後半15分には田中と沖吉のワンツーからの中央突破から作ったチャンスが相手の退場を呼ぶ。そしてそのFKを沖吉が沈めで同点となった。

 その4分後、スーパーゴールに三ツ沢の観衆が湧く。

 左サイドで田中がボールを受けると、カットインして右足で狙いますましたシュートをファーに突き刺した。神戸弘陵・谷監督も「スーパーなゴールだった」と絶賛。

「カットインからのシュートは自分も得意としていたので、相手が必死に戻ってくる中で必死に戻ってきたので逆を突いて切り替えして。ファーのサイドネットを狙うというのはずっと練習していたので。それをこの初戦で出せてよかったです。蹴った瞬間に入るなと思いました。あの位置からニアというのは難しいので、ファーを狙えれば入るかなと。」と田中は振り返る。

 ひとり少ない秋田商の戦意を冷酷に削ぐ、ゴラッソだった。

次ページ昨年の染野唯月のように「今大会で名を上げられたら良いなと」

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