【三浦泰年の情熱地泰】リバプール優勝…トヨタカップ時代に感じたブラジルの強さは戻らないのか?

2019年12月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

僕の願望としても、フラメンゴに勝ってほしいというのが本音であった。

38年ぶりにフラメンゴに雪辱を果たし、初の世界一に輝いたリバプール。(C) Getty Images

 フラメンゴが白のユニホームで登場。あの時と同じだ。

 1981年。今から38年前、僕は国立競技場へトヨタカップを見に行った。フラメンゴvsリバプール。南米代表のフラメンゴは、赤黒の横縞だと思えば白で登場。カッコイイ!!と子供心に興奮したのを覚えている。

 縁起の良いユニホーム。当時はジーコが活躍、ヌネスが点を取り、エレガントなレベルの違いを見せてくれた。

 僕はこの日、日系企業の仲間と昼飯、フェジョアーダ(ブラジル名物)を食べながら年忘れの会食会。今年、知り合った仲間が年末年始に日本へ戻る前に声を掛けてくれた。

 会食後に近所のバールへ移り、テレビ観戦。同じようなブラジル人たちとフラメンゴの応援だ。何気なしに集まってくるブラジル人。サンパウロではあるが、さすがフラメンゴ、国内中にサポーターがいるのであろう。派手さはないがサンパウロでもフラメンゴへの期待は感じとれた。

 僕の願望としてもブラジル、フラメンゴに勝ってほしいというのが本音であった。

 しかし数日前に行なわれたラ・リーガのクラシコ、バルサvsレアル・マドリーを見ても、リバプールも含めたヨーロッパのチャンピオンズ・リーグを見ても、1年間見続けたブラジル国内リーグと比べれば優位はリバプールにあるだろうと認めなければならない。

 ブラジルひいきとして唯一言えることは南米、リベルタドーレスを苦しみながら勝ち取ったという勢いと国内でぶっちぎりで取ったブラジレイロからの流れという部分で、可能性を信じるしかなかった。

 試合は皆も知っての通り、延長戦120分を戦いリバプールが38年前の雪辱を果たし、チャンピオンになった。

 僕の感じ方も38年前とは違った。

 試合としてはフラメンゴも勝つ展開に持っていき、どちらが勝ってもおかしくないゲームとなった。明らかな違いがCL王者との間にあった訳ではなかった。

 フラメンゴらしさも出ていたし、巧さもあった。

 決めるべき勝負強さを国内リーグのように出せればフラメンゴ祭りが見られた可能性もあった。

 しかし、昔の絶対的な力の差を見せることの出来ないブラジルクラブ「フラメンゴ」に失望感のような物も感じてしまった。

 昔、観戦しに行った、トヨタカップを思い出せば、フラメンゴは相手(リバプール)にボールを触らせることさえもしなかった。リバプールに3-0で圧勝。

 グレミオはヘナットガウショ(現グレミオ監督)が角度のない位置からの切り返しでゴール。伝説のゴールを生で見た。マリオ・セルジオのヨーロッパ選手をおちょくったようなテクニックをドイツのハンブルクを相手に見せつけた。

 90年代に入ってもサンパウロは強豪、バルサ、ミランも寄せ付けない、まとまりとスキルで2年連続王者になった。当時、バルサ、ミランと言うだけでビビるクラブがほとんどであったが、ブラジルクラブは全く怖がることはなかった。

 そのブラジルはもう見られないのか?

 救いは決勝点を奪ったフィルミーノと無失点に抑えたGKのアリソンがともにブラジル代表の選手だったということか。ヨーロッパでは、バルサもレアルもそうであるが南米の選手がビッグクラブの中心選手として活躍していることが多い。

 ただ、現在はこの結果がワールドカップへとつながっているように感じる。同じような負け方で敗退していくブラジル代表。大きな試合で差をつけられて負けるブラジル代表を何度も見ているからだ。
 

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