J1昇格ならずとも…魅力的な攻撃サッカーを貫いた徳島は称賛に値するチームだ

2019年12月14日 古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

徳島はスタイルを変えることなく真っ向勝負を挑んだ

CKから先制した徳島だったが、左サイドから崩されて同点弾を許した。写真:SOCCER DIGEST

[J1参入プレーオフ決定戦]湘南1-1 徳島/12月14日(土)/Shonan BMW スタジアム平塚
  
 J1参入プレーオフの決定戦は徳島が先制するも、後半に同点に追いつかれ、1-1に終わった。引き分けの場合はJ1チームが残留するというレギュレーションの下、湘南が来季もトップリーグで戦うことになる。

 徳島側からするとアウェーのうえに、「勝利が絶対条件」という厳しい戦いだった。湘南にそのアドバンテージを上手く使われた形だが、徳島が見せた戦いはJ1相手だとしてもまったく引けを取っていなかった。細かくボールをつなぎ、隙があれば一発で裏を狙う。そして選手たちがポジションに関係なく、攻める様は非常に魅力的だった。

 試合後、リカルド・ロドリゲス監督もこう語った。

「前半は(内容が)非常に良かったと思います。しっかり点を取ることができて、我々の望む展開で進められました。前半は2点目を取れる可能性も高かったですし、大きなピンチはありませんでした」
 
 しかし、後半からは押し込まれる展開に。ハーフタイムで投入されたクリスランの対応に苦戦。高さ、パワーをうまく処理できなかった。ましてや山﨑凌吾を抑え込んでいたわけではないのに、湘南にボールの収めどころをふたつに増やされたのだ。

 その劣勢のなかロドリゲス監督はある選択をする。62分にボランチの小西雄大に代えてシャドーが主戦場の渡井理己を投入する。シャドーで先発した鈴木徳真を1列下げ、攻撃的に2点目を奪いにいった。キャプテンの岩尾もこの判断を「相手も力があるわけなので2点目を取りに行った」と説明している。

 勝利が欲しい状況下で「守り切る」ではなく「突き放す」選択だった。しかし――。結果論ではあるが、この選択が裏目と出る。渡井を投入した2分後に同点弾を許してしまったのだ。

 勝負事に「たら・れば」は禁物だが、もし2点目を奪いに行かなければ、結末は変わっていたかもしれない。

 しかし、ロドリゲス監督は積み上げた魅力的な攻撃サッカーをこの大一番でも貫いた。観る者を楽しませ、J1相手に通用しただけに来季こそ――。徳島のサッカーがJ1で観られる日はそう遠くないはずだ。

取材・文●古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

 
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