マネ、ケイタ、そして南野拓実…。名将クロップはなぜ“ザルツブルク経験者”を欲しがるのか?

2019年12月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

クロップはザルツブルク時代からマネを注視していた

クロップ監督(左)は、マネ(右上)、ケイタ(右中)に続いてザルツブルクでブレイクした南野(右下)を手中に収めるのか。(C) Getty Images

 レッドブル・ザルツブルクに所属する南野拓実のリバプール移籍が秒読み段階に入っている。複数の英国メディアが報じたところによれば、すでに違約金725万ポンド(約10億1500万円)を支払うことでクラブ間での基本合意には達しており、メディカルチェックと個人条件の話し合いをパスすれば、入団が正式決定する運びだ。

 直接引き抜いたわけではないが、リバプールには、既存メンバーにもザルツブルクでその才能を開花させた選手がいる。FWのサディオ・マネとMFのナビ・ケイタだ。

 南野の加入が決定すれば、ユルゲン・クロップ監督の下で、3人目の「ザルツブルク経験者」となる。これは決して偶然ではない。ザルツブルクのサッカーが身体にしみ込んだ選手を、指揮官は欲しているのだ。
 
 まだ無名だったマネがフランス3部のメスからのザルツブルクに移籍したのは2012年の8月。引き抜いたのは、その数か月前にこのオーストリアの強豪のSDに就任したばかりのラルフ・ラングニックだった。

 シュツットガルト、ハノーファー、シャルケ、ホッフェンハイムなど、ブンデスリーガのクラブの監督を歴任してきたこのドイツ人SDは、「ゲーゲンプレス」の生みの親とも言われている。そう、クロップ監督の代名詞でもある、ボールを奪われた瞬間に素早いプレッシングで取り返し、カウンターに繋げるスタイルの潮流を作った人物だ。

 そのラングニックが招聘したロジャー・シュミット監督の下、ザルツブルクは欧州中に衝撃を与える。13-14シーズンのヨーロッパリーグで、プレーオフも含めて破竹の10連勝を飾るのだ。とりわけインパクトを残したのがラウンド・オブ32のアヤックス戦で、敵地で3-0、ホームで3-1とオランダの名門を文字通り圧倒してみせた。

 ハイプレスからのカウンターが見事にはまったこの2試合で、2ゴール・1アシストと躍動したのが、マネだった。一気に声価を高めたセネガル代表FWは、半年後にサウサンプトンへ移籍し、そして2年後にリバプールの一員となる。クロップ監督はこの時、ザルツブルク時代からマネを注視していたことを明らかにしている。

 そのマネが、いまやリバプールのサッカーに不可欠なパーツになっているのは、言うまでもない。指揮官はほとんど休ませることなく、この快足アタッカーを重用し続けている。

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