なでしこジャパン主将に任命された岩渕真奈が「ちょっと難しい」と感じた“初仕事”は?

2019年12月12日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「“終わって笑えるように勝とうね”」

岩渕は台湾戦でキャプテンマークを巻いて出場。別格のパフォーマンスでチームを勝利に導いた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[E-1選手権2019/女子]日本9-0台湾/12月10日/釜山アジアドメインスタジアム

「今のチームを見たら、彼女がやるのは当たり前の感覚でいました。彼女にもそういう話をして、抵抗なく引き受けてくれました」

 なでしこジャパンの高倉麻子監督は、E-1選手権の台湾戦後にそう話す。新キャプテン岩渕真奈についてだ。

 E-1選手権はインターナショナルマッチデー期間ではなく招集の強制力がないため、フランスのリヨンで活躍する本来のキャプテン熊谷紗希は招集できなかった。その代わりに大役を担うことになったのが岩渕だったのだ。

 16歳でなでしこジャパンデビューを飾った岩渕も今年で26歳を迎えた。今回のメンバーでは、中島依美、池田咲子に次ぐ3番目の年長者。エースとしてもチームを引っ張る存在なのを考えれば、高倉監督の"当たり前"という選択に違和感はない。

 指名を受けた岩渕本人にも気負いはなかった。「正直に言うと、大していつもの試合と変わらずに、自分のペースで自分なりに入れた」という。
 
 それでも多少、気を遣った部分もあるらしい。それが試合前の"初仕事"、円陣の掛け声だった。「普段やらないことなので、ちょっと難しいななんて思いながら……」と笑いながら明かす。

 チームメイトには「普通にキャプテンが話すようなこと、"終わって笑えるように勝とうね"」と話し、結束力を高めた。

 キャプテンマークを巻き責任感が強まったのは、台湾戦で見せたハイパフォーマンスからも伝わってくる。7分にドリブルシュートで先制点を決めると、16分には鮮やかなヒールパスでアシスト。さらに痛烈なミドルシュートでこの日自身2点目を奪うなど、ゴールラッシュの口火を切り、巧みなテクニックで攻撃を牽引し続けた。

「気にしてはいなかったんですけど、巻くことによって何か力をくれるというか。澤(穂希)さんとか宮間(あや)さんに連絡して、そういう今までの選手の気持ちを背負って戦いたいなと思いました」

 偉大な先輩たちの想いを引き継ぎ、リーダーとしての自覚が芽生えてきた。正真正銘のエースに――。岩渕にとって、このE-1選手権は、ひと皮むける転機になるかもしれない。

【PHOTO】日本 9-0 台湾| 終始圧倒のなでしこ、3度目Vへ白星発進!試合後の挨拶に中国人カメラマンも思わず「カワイイ…」!

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 

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