【セルジオ越後】2年前から現状維持のレッズと世界基準を揃えたアル・ヒラル。キャスティングの差は明白だった

2019年11月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

アル・ヒラルは2年前の決勝当時よりもクオリティの高いメンバーを揃えてきた

アル・ヒラルの表彰式を見つめる槙野(5番)と興梠(30番)。この敗北をどう受け止めるのか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 ACL決勝のレッズ対アル・ヒラルは埼玉スタジアムでの第2戦を2-0でモノにしたアル・ヒラルが2戦合計3-0として優勝したね。ACLとなってからは初、アジアクラブ選手権時代を含めると、最多タイの3度目のアジア制覇となった。

 2連敗という結果も表わすように、レッズにとっては完敗の結果だった。チームとしての力の差はもとより、個々のキャスティングも全然質が違っていたし、内容的には5、6点取られてもおかしくないような差があった。

 2年前にアル・ヒラルは決勝でレッズに敗れて準優勝に甘んじたけど、今回はその当時以上のメンバーを揃えてリベンジしてきた。とりわけ、外国人選手のクオリティに関しては段違いの差があったよね。真ん中に二人掛かりでもなかなかボールが取れないような巨漢のゴミスを置いて、その周辺では高い技術を持つジョビンコがポイントを作る。コパ・アメリカで準優勝したペルー代表のカリージョの突破力も圧巻だった。いずれもワールドクラスの選手たちだ。

 それに対して、レッズは今シーズンを象徴するような出来だった。得点が入りそうな気配と言ったら、興梠が個人で突破したシーンだけで、采配で最終局面を打開するような手は打ちようがなかった。クロスを放り込んで五分五分の勝負を挑んでもアジア有数のDFが立ちはだかる。外国人もそうだけど、向こうは自国の選手もほとんどサウジアラビア代表で固めたチームだからね。交代選手を投入しても相手の勢いは落ちなかった。

 レッズで一番目立っていたのが2試合ともGKだったというのも完敗を物語っている。ここまでの勝ち上がりを見ても、守って守って興梠が点を取って。なんとかギリギリのところで勝利を得るというパターンが多かった。だが、今回ばかりは同じ轍を踏むまいと戦力を強化してきたアル・ヒラルに及ばなかった。

 とにかく、今回のレッズはアル・ヒラルとのキャスティング力で大きな差を見せつけられた。高い能力を備えた選手を揃えて、監督もしっかりチームを機能させていた。総合的に見て、アル・ヒラルは優勝に相応しいチームだったよ。
 

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