【識者コラム】全力のコロンビアを相手に明確な落第点…弱点を浮き彫りにされた五輪代表が打つべき手は?

2019年11月18日 加部 究

ここまで明確な落第点がつけば今後は無駄な実験を避けられる

コロンビアは激しいプレスで日本のキーマンを全力で追い回し続けた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[国際親善試合]U-22日本0-2U-22コロンビア/11月17日/Eスタ

 一見進化が著しい日本サッカーだが、発芽前のハングリーな南米選手たちと比較すると、土壌の差が歴然としてしまう流れは変わっていない。新生U-22日本代表は、コロンビアの同年代に技術、フィジカルのベースのみならず、最も強調してきたはずの攻守の切り替え、デュエルの執拗さでも見劣りした。日本のエースは相手に置き去りにされた時点で、諦めたりジョギングに切り替えていたが、コロンビアは例外なく全力で追い続けた。逆にJリーガーが自陣危険なエリアでパススピード、精度などで致命的なミスを繰り返してしまったのを見れば、やはり彼我の日常の厳しさの格差を感じないわけにはいかない。
 

 もちろん日本もいくつかのピースが加えれば、劇的に改善される可能性はある。特に最終ラインに冨安健洋が加わり、ボランチにオーバーエイジ(OA)として柴崎岳、あるいは田中碧が入れば、バラバラなチームにもビルドアップから攻撃への安定した流れがもたらされるのかもしれない。だが少なくともコロンビア戦で約3分の2の60分間以上を費やした3バックでは、森保一監督が掲げる「金メダルへの道」は霞んでしまう。

 結局、世代別代表戦には異例の大観衆に勝利を届けたい森保監督は、親善試合の有効活用にも失敗した。遠路スコットランドから来た食野亮太郎も、ポルトガルから呼び寄せた前田大然も、プレー時間は10分間にも満たない。それでも珍しく後半開始から動いたが(上田綺世→小川航基)、戦術変更へ踏み切るのが遅過ぎ、必要な実験をこなし切れていない。

 最大の収穫は、この時期に日本が最も苦手とするタイプのチームを呼べたことだ。ここまで明確な落第点がつけば、さすがに今後は無駄な実験を避けられる。60分まで日本の攻撃は久保建英と堂安律の個の力に頼るしかなかった。久保個人は明らかにプラス材料だが、今度は指揮官がフルタイム使い続けるほど依存の度合いを深めている。
 

次ページ有力視された3バックだが、コロンビア戦ではデメリットばかり。今後は4-2-3-1を熟成させていくべき

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