エムバペやグリエーズマンら4人にデシャン監督が激怒! EURO出場を決めたフランスに何が起こったのか?【現地発】

2019年11月17日 結城麻里

EURO2020出場は決めたが、内容は散々

モルドバ戦のハーフタイムでは怒りを露わにしたデシャン監督。一体何が……。(C) Getty Images

 11月14日の夜、フランス代表はEURO2020予選でモルドバを下してグループHの首位に立ち、本大会出場が決定。ワールドカップを含めて13大会連続でメジャートーナメントへの切符を手にした。

 だが、この試合のハーフタイムにディディエ・デシャン監督が4人の選手たちに激怒していたことが明らかになった。

 このフランス人指揮官は、さほど怒らないことで知られ、最後に声を荒げたのは2018年ワールドカップ初戦のオーストラリア戦のハーフタイムにまで遡る。それほどモルドバ戦の前半の内容が酷かったのだ。

 直前にトルコ対アイスランドの一戦が0-0で終わり、この時点でフランスのEURO出場が決まっていたため、気の緩みもあったのだろう。デシャン監督は「そのせいとは思わないし、思いたくない。首位で予選を突破する可能性は勝利でしか得られないのだから」と否定したが、レ・ブルーの立ち上がりはあまりにも気合に欠けていた。

 その証拠に、開始早々にクレマン・ラングレが大ミス。何でもない競り合いで2度もヘッドをしくじり、こぼれ球から予期せぬ失点を喫した(9分)。通常のレ・ブルーならここで目覚め、軽々と小国を掃き捨てていたに違いない。ところがそうはならなかった。その後もボールロストやパスミスを連発し、凡庸で不甲斐ない攻撃が続いたのだ。

 そんななか孤軍奮闘したのは、またしてもオリビエ・ジルーだった。今季、チェルシーでのプレー時間は、9~10月が18分、10~11月は21分しかない。「今度こそジルーの代表生命も終わりか」と思われていた。

 だが、この男が同点弾を呼び込む。35分、アントワーヌ・グリエーズマンのFKに合わせようと、ゴール前の混戦のなかで必死にジャンプ。193センチの巨体がモルドバGKをぐらつかせ、ラファエル・ヴァランヌがすかさずゴールに流し込んだ。汚れ役を惜しまないジルーのフィジカルなコンバ(戦闘)が、再びチームを救った瞬間だった。

 しかし、1-1でロッカールームに戻ってきた選手たちを、監督は激怒で迎えた。怒りの眼差しは、キリアン・エムバペ、グリエーズマン、キングスレー・コマン、そしてジルーの4人を鋭く射貫いていた。ゴールラッシュが期待された豪華攻撃陣である。

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