山形らしさを取り戻せた30分間。J1参入プレーオフを勝ち切る鍵はそこにある

2019年11月15日 嶋 守生

前節・長崎戦はCBホドルフォが退場するまでの30分間は良好な出来

40節の長崎戦は大槻のゴールで先制したが、退場者を出して流れが変わり、逆転負けを喫した。写真:滝川敏之

 J2リーグ40節、V・ファーレン長崎戦。J1自動昇格に向けて負けられない一戦だったが、28分にホドルフォが呉屋大翔を倒すと、決定的な得点の機会の阻止(DOGSO)とジャッジされて一発退場となり、後半に逆転を許して1-3で敗れた。

 残り2試合で、2位の横浜FC、3位大宮との勝点差は6。山形が自動昇格するためには、残り試合を2連勝した上で、上位2チームが2連敗し、得失点差で上回るというかなり厳しい条件になっている。

 現実的にはプレーオフ進出が第一目標になるが、そのプレーオフも茨の道となるか。現時点でプレーオフ進出の可能性がある上位9チームに絞ると、山形の今年後半戦の対戦成績は3勝1分5敗と分が悪く、上位に勝てていないデータがある。

 山形がシーズン前半戦を首位で折り返せたのは、上位との対戦で競り勝ってきた結果であり、後半戦でここまで順位を落としたのは、その接戦で競り負けてきたからだ。

 しかもチームは直近5試合で3敗、最終盤の大事な時期に2試合連続で3失点して2連敗と、勢いがないまま大事なリーグ終盤戦を迎えた厳しい状況にある。

 ではこのままプレーオフに進んだとしでも山形のJ1昇格は厳しいのか。そんなことはない。勝点や勢いで追い込まれているプレッシャーはあっても、今の山形にそんな重い空気は感じられない。そしてこれから復調していきそうな兆しは長崎戦で確かに感じられた。

 試合こそ壊れてしまったが、ホドルフォが退場するまでの約30分間は、ここ数試合の中でも最高の出来で、水戸戦で競り負けて意気消沈していたにも関わらず、抜群のパフォーマンスを見せていた。


 大槻周平が12分に先制ゴールを挙げた後も、長崎には大きなチャンスを作らせておらず、守備から主導権を握っていく山形らしい戦い方が出来ていた時間帯。試合は90分あるので勝敗は分からなかっただろうが、山形にしてみれば、試合が壊れないままタイムアップまで見届けたいと思うほどの出来だったはず。

 木山監督も「チット(ホドルフォ)が退場するまでは非常に良かったし、久しぶりに我々らしい戦いができた。前にボールを運ぶし、後ろの押し上げもあって、セカンドボールを拾うことも、サイドを変えることもできた」と絶賛する時間帯だった。
 

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