【コラム】アジア2次予選最大の難関を突破した日本代表。後半戦の4試合はどう戦うべきか?

2019年11月15日 加部 究

前半戦ラストとなった敵地でのキルギス戦は、18歳、20歳の選手たちに翻弄された

代表では主戦ボランチとして定着する柴崎だが、クラブでは厳しい状況に立たされている。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 日本にとってアウェーのキルギス戦は、2次予選で最も難しい試合だった。ホームのキルギスは、熱狂的な声援と慣れ親しんだ荒れ放題のピッチを味方にすることができたからだ。ここまで慎重を期して4戦全てにベストメンバーを招集してきた日本は、当然綿密なスカウティングも施したはずだ。だが開始8分には、要注意のDFキチンに伊東純也が思い切り突っ込むが難なくかわされ、逆サイドへのロングフィードから決定機を作られた。また18歳のアリクロフには勝負どころで再三翻弄され、20歳のシュクロフも止め切れなかったから、近未来へ向けてホームチームには大きな勇気を与えたに違いない。

 ひとつの時代の集大成を見せたロシア・ワールドカップを終え、森保一監督率いる新生代表は躍動感に満ちた出航をした。2列目では堂安律、南野拓実、中島翔哉が個の魅力を発散させながら連動し、最終ラインでは冨安健洋が大化けした。さらにMFもシント=トロイデンで自身待望のボランチに抜擢された遠藤航が、柴崎岳のパートナーとして浮上した。

 だがこの1年余りで、少しずつ状況に翳りが見え始めた。五輪チームに回った堂安に代わり右ウイングに起用された伊東や南野は、欧州CLでもコンスタントにプレーしているが、名門ポルトにステップアップした中島は出場時間が激減し、柴崎、遠藤のボランチコンビや、好守でゴールを守り続ける権田修一も、代表戦で試合勘を維持する状態に陥っている。

 さらにこれまでは並外れた身体能力で相手のエース級を阻んできた冨安を故障で欠くと、タジキスタン、キルギスに相次いで決定機を許す不安定ぶりを露呈した。ピッチの酷さは十分に言い訳の余地を残すが、それにしても相手ボールを奪いながら再度ミスで渡してしまい、間延びした布陣でカウンター合戦を演じてしまったのは、世界のベスト16の壁を破ろうとするなら寂しいパフォーマンスだった。

 ただし幸いこれで日本が勝点を落とす可能性のある試合はなくなった。それなりに脅かす力を見せたタジキスタン、キルギスとはホームゲームを残すのみで、他2戦はモンゴルへの遠征、ミャンマーとのホームゲームになる。この4戦は、オプションを広げるとともに、現レギュラーの失地回復の時間に使いたい。つまり東京五輪候補を中心に新戦力を試し、チーム内に正当な競争原理をもたらし、その勢いを利して最終予選に突入する状況を作りたい。
 

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