【横浜FC】「だから、単純によかった」雌伏の時を経て、中村俊輔は泰然自若の構えで

2019年11月13日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「それをあと2試合、多くて5試合やるだけだから」

約1か月、実戦から遠ざかる時期もあったが、現在は3試合連続先発中。一連の流れを俊輔は「よかった」とポジティブに振り返る。(C)SOCCER DIGEST

 今夏の移籍後、中村俊輔はなかなかコンスタントに出場機会を得ることができずにいた。9月に入ってからは、3試合連続でベンチ入りも出場なし、その後の2試合はベンチ外と、約1か月、実戦から遠ざかる時期もあった。

 だが、流れは変わった。38節の東京V戦で6試合ぶりに先発すると、26分に鮮やかなミドルで移籍後初ゴールを叩き込む。2-1の勝利に貢献し、下平隆宏監督の期待に応えてみせた。続く長崎戦、先日の徳島戦でもスタメンに名を連ね、チームも3連勝を達成。13年ぶりのJ1昇格に向け邁進する横浜FCで、俊輔は間違いなく不可欠な戦力となっている。

 試合に出られかった時期には、いろいろと思うところはあったはずだ。ただ、頭の中はクリアにして、邪念を取り払い、全力でトレーニングに励み、真摯にサッカーと向き合ってきた。そうしてポジションを奪い返した。

「レギュラーで出たらこうだっていうのを、こうやってプレーするんだっていうのをイメージしてやっていたから」

 41歳の大ベテランは、これまでの一連の流れを「よかった」とポジティブに振り返る。

「試合に出た時のことをイメージして練習していたから、"こういうこと"が起きるんだって。ここまで(プロとして)長くやってきて、そういう経験はないから。だから、単純によかったと思っている」

 過去の輝かしいキャリアに寄りかかるようなことはしない。"今"だけを見て、俊輔は勝負している。「与えられた仕事を全力でやるだけ」というスタンスだ。
 
 シーズンも残り2試合。チームは現在、勝点73で自動昇格圏内の2位にいる。ただ、3位の大宮も同じ勝点73で、横浜FCが得失点差でわずか「1」上回っている状況だ。

 次節はアウェー岡山戦、最終節はホーム愛媛戦。岡山戦でJ1昇格を決めることはできないが、是が非でも勝利は掴みたい。そしてラストの愛媛戦、本人が大好きなスタジアム、三ツ沢で歓喜の瞬間を迎えることができるか。

 俊輔は浮足立つわけでなく、現状に甘んじるわけでもなければ、楽観視もしていない。これまでと同じように、日々の練習から"レギュラーで出たら、どうするか"に集中して、準備するだけだ。

「それをあと2試合、(プレーオフを含めれば)多くて5試合やるだけだから」

 泰然自若。自身初のJ1昇格争いで、俊輔はどんなフィナーレを迎えるのか――。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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