トルシエ監督率いるベトナムに大苦戦…若き日本代表が直面したアジア予選の厳しい現実

2019年11月12日 松尾祐希

U-18日本代表がU-20W杯へのアジア1次予選を突破も、今後に不安を抱かせる内容に…

トルシエ監督がU-18ベトナム代表を率いて、若き日本代表の前に立ちふさがった。写真:佐藤博之

 2021年のU-20ワールドカップ出場を目指す戦いが始まった。次ラウンド進出は決めたものの、その船出は今後の航海に不安を抱かせる内容だった。

 11月6日から11月10日までベトナムで行なわれたU-19アジア選手権予選。2年後にインドネシアで開催されるU-20ワールドカップのアジア1次予選も兼ねており、世界の舞台に挑むために敗退は許されない。今予選は、各組1位もしくは各組2位の上位4チームまでに本選の出場権が与えられる。(U-19アジア選手権の開催国・ウズベキスタンが1位もしくは2位で突破した場合、各組2位の5位が繰り上げで出場)

 今年5月のU-20ワールドカップに引き続き、チームを率いるのは影山雅永監督。2月にU-18日本代表が発足すると、海外遠征や国内合宿などで強化を進め、この予選に照準を合わせて来た。6日のグアム戦は10−0で勝利し、8日のモンゴル戦も9−0で快勝。順調にステップを踏んでいるかに見えたが、問題は10日に迎えたホスト国・ベトナムとの最終戦だ。

 前述したように"不安を抱いた"のは、0−0の引き分けで終えたからではない。それ以上に内容が希薄だったからだ。

 近年成長著しいベトナムに序盤から苦戦を強いられた。かつて日本代表の指揮を執ったフィリップ・トルシエ監督が率いる相手に対し、若き日本代表は後手に回った。

「昔と比べると、性格がだいぶ丸くなりましたよね」。影山監督が試合前に冗談を交えながら話していたが、勝負に対する厳しさは衰えていない。2002年当時の代名詞、フラットスリーではなく、5バックの陣形で堅守を構築。鋭いカウンターも冴え、何度も日本を脅かした。

 日本は4-4-2のシステムで臨むも、サイドを効果的に使えずにノッキング。「自分が外を取った時は(中村)拓海君との連係でもっと深い位置まで行けたら良かったけど……」と、右サイドハーフの石浦大雅(東京ヴェルディユース)は言う。前半に放ったシュートが、わずか2本だった点からも攻撃面の機能性に問題があったことが分かる。

 後半開始から武田英寿(青森山田)がボランチに入り、単調だった攻撃にリズムが生まれた。だが、最前線の櫻川ソロモン(ジェフ千葉U-18)と染野唯月(尚志)に良い形でボールが入らず、決定機を作れない。徐々に相手が前に出て来ると、速攻から肝を冷やす場面も作られた。そして、75分。不測の事態に直面する。櫻川が相手DFに報復行為を行ない、一発退場になったのだ。

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