【高校選手権/代表校レポート】愛知・中京大中京|全国屈指の攻撃力にタフさの上乗せで上位を目指す

2014年12月22日 平野貴也

MF富田を中心に攻撃力は全国屈指。

中京大中京
所在地:愛知県名古屋市昭和区川名山町122
創立:1923年  創部:1954年
主なOB:宮市亮(トゥベンテ)、伊藤翔(横浜)、宮市剛(湘南→水戸)、大岩一貴(千葉)
(C) SOCCER DIGEST

 テクニカルな中盤と身体能力に優れたディフェンスライン、そして多彩なベンチワークと魅力が満載のチームだ。愛知県代表の中京大中京は、今大会要注目のダークホースである。
 
 岡山哲也監督が就任後、自らスカウト活動に携わった世代が最上級生となり、個性溢れる選手が揃った。3年前には当時1年生の宮市剛(湘南)を擁して8強入りしたが、今回は、さらに上のステージを目指すのに十分な陣容と言えるだろう。
 
 岡山監督は「いいと思った選手に声をかけたら、ボールを持てるタイプが並ぶ形になってしまった。とてつもなく速い選手とか、左利きの選手が3年生には少ないから、まだ物足りない。それでも今年は、いろんなタイプがいるね」と不敵な笑みを浮かべた。
 
 中心選手は、左MFの富田光。得意のドリブルでカットインを仕掛けながら、狭い局面を物ともせずに高精度のラストパスを繰り出す。トップ下の大城佑斗は、富田らと細かいパス交換をしながらフィニッシュを狙うシャドーストライカー。
 
 前線では石原直樹(広島→浦和)のような裏への抜け出しと滞空時間の長い空中戦を武器とするFW小原羽矢駄や、長身でパワーのある犬飼翔洋がポストワークをこなしながらゴールを狙う。
 
 また、相手が下がると、スピードと跳躍力のある左SBの水口豪、180センチ超の大型右SBの田崎大地らが果敢に攻め上がり、サイドを制圧する。ドリブルを得意とするMF福山大貴らパスサッカーにアクセントを加えることができるメンバーもおり、攻撃力は全国屈指と言っていいだろう。
 
 しかし、課題がないわけではない。相手に技術力で上回ったことに満足するかのようにリズムを作った時間帯に点差をつけられず、相手に反撃の糸口を与えてしまうことがある。
 
 選手権出場を決めた後に臨んだプリンスリーグ東海の磐田東戦は象徴的なゲームだった。前半に先制していいペースで試合を進めたが、追加点を決められたはずの場面でファウルの判定によってゴールを取り消されると、前半終了間際に失点。その後は、連係が機能しなくなり、1-1のまま引き分けた。
 
 富田は「正直、負け試合だった。悪い時の典型的な試合。昨年の県予選決勝もこんな形で負けた。こうなると、中京は脆い。上手いけど弱いというか……」とギアの上がらなかった試合を振り返った。
 雨の影響を考えて、ロングパス主体でスタートし、途中からショートパス型に変えたという難しさがあったとはいえ、尻すぼみの展開だった。主将を務めるMF市川兼伍は「本当に強いチームは、この状況でも1点を取って勝つ。上を目指すなら、まだまだ」と顔をしかめた。
 
 DFの土生陽も「継続力、集中力が鍵だと思う。いい時は、選手権の県予選決勝みたいに5点差で勝つこともできるけど、今日みたいに拮抗して危なくなってしまう試合もある。まとまって力を出せれば勝てるチームだと思う」と安定性の向上を課題に挙げた。

【高校選手権PHOTO】愛知県代表校|中京大中京

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