“3度目の正直”となるか? 横浜FCが過去2シーズンの悔しさをバネに積み上げてきたもの

2019年11月12日 二本木昭

残り2節でついに自動昇格となる2位に浮上!

残り2節で2位に浮上した横浜FC。同勝点の3位大宮とは得失点差1ポイントの熾烈な争いだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 例年通りに混戦となったJ1昇格争い。残り2試合で大宮を交わし単独2位となったのが横浜FCだ。このクラブが頻繁に上位に顔を出し、コンスタントに昇格レースに加わるようになったのは2017年シーズン以来のこと。


 今のチームのベースができたのも、2年前からといっていい。多くのサポーターが、今季の昇格を"3度目の正直"と捉えていることだろう。本稿では、過去2シーズンを振り返り、かつてないチャンスを迎えた現在へとつなげたい。

 まず2017年は、その年のJ2得点王となるイバを擁し、序盤戦で一時は首位に立つも、相手に研究され徐々に順位を落とす展開となった。シーズン途中でレアンドロ・ドミンゲスを補強するもフィットに時間がかかり、さらに36節・福岡戦で攻守の大黒柱であるイバとカルフィン・ヨン・ア・ピンが同時に故障離脱するという緊急事態に見舞われるとチームは一気に失速し、結局、年間10位という成績に終わった。

 クラブとして、主力選手の故障離脱による失速を深く反省した2018シーズンは、即戦力級の選手を数多く補強して臨んだ。前半戦は苦戦し中位をさまようも、3バックの前にセントラルMFを3枚並べ、1トップにイバ、トップ下にL・ドミンゲスを置く変則的な「3-5-1-1」のシステムを採用するとチームは躍進。

 特にL・ドミンゲスは年間11得点・15アシストと大車輪の活躍を見せた。しかし、まだ暑い9月に東京V、水戸、山口に敗れるなど足踏みが続く。最後は怒濤の4連勝を果たしたが、惜しくも優勝した松本と勝点差1、2位の大分とは勝点差なしの得失点差で3位でフィニッシュ。迎えた東京Vとのプレーオフは忘れられないアディショナルタイムでの失点で、あと一歩でJ1昇格を逃した。

 2018年を回顧すれば、右ウイングバックという最適な仕事場を与えられ、5得点・7アシストと、ある意味予想以上のパフォーマンスを披露した北爪健吾、粘り強く起用され計算できる戦力となった齋藤功佑など、タヴァレス監督の功績も少なくない。

 途中加入の田代真一は欠かせない守備の要に。2017年に7得点を挙げたジョン・チュングンがポジションを失い途中移籍したのは残念だったが、補強した武田英二郎や渡邊一仁ら中堅・ベテラン選手が期待通りの働きを見せたことも大きかった。

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