今日の敵は明日の友!? チャナティップ&ティーラトンがタイ人Jリーガー対決を経て東南アジアのプライドを懸けた戦いへ

2019年11月11日 佐々木裕介

ASEANサッカー連盟主催のAFFアウォーズの主要タイトルはベトナムが総ナメに

9日のJ1リーグで対戦したチャナティップ(左)とティーラトンのふたり。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 赤き時代へ突入する序章なのか――。

 11月8日、ベトナム・ハノイで行なわれたASEANサッカー連盟(以下、AFF)主催"AFFアウォーズ2019"。主要タイトルを総ナメにしたのはベトナムだった。

 男子最優秀チーム賞にはベトナム代表が、率いるパク・ハンソ監督が最優秀監督賞に、そして最優秀選手賞にはグエン・クアン・ハイ(ハノイFC)がそれぞれ選ばれたのだ。

 近年の東南アジアにおける力関係を露骨に表わした絵図、式典へ出席していたソムヨット・タイサッカー協会会長の気の抜けた表情を度々抜くベトナムTV局のカメラ映像を観る度に、場の空気に追い打ちを掛ける彼らの敵対心をこれでもかと感じることとなった。

 2年に一度の式典、前回はタイが逆の立場(タイ代表/キャティサック監督/チャナティップがそれぞれ受賞)だったことを考えれば、受賞結果は変化するASEANパワーバランスを率直に表わしたものと言って良いだろう。

 一転、翌9日の横浜は"タイ人Jリーガー対決"に沸いていた。J1リーグ31節、横浜F・マリノス対北海道コンサドーレ札幌戦。会場のニッパツ三ツ沢球技場にはタイ人ファンの姿も多く見受けられ、映像はタイへもライブ放送で配信されていた。

 試合は4対2で横浜が勝利する。開始早々から打ち合いの展開に、どちらも多くのチャンスを創ったが、序盤からのチャンスをしっかりモノにして勝ち逃げる辺りがチーム状況の差なのだろうか。開始前から終わりまで途切れることのなかったトリコロールファンの声量もチームの背中を押したに違いない。DFティーラトン(横浜)にとってはリーグ出場50試合目となる記念試合に華が添えられた格好だ。
 

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