FC東京、アウェー連戦を完封締めで首位浮上も…守護神・林彰洋が浮かない顔だったワケ

2019年11月10日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

「もっとチームに影響を強く及ぼすことができるポジション」

磐田戦を無失点で切り抜けたGK林。チームの3連勝に大きく貢献した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ31節]磐田0-1FC東京/11月9日(土)/ヤマハ

 27節以来の首位再浮上に大きく貢献したひとりが、FC東京の守護神の林彰洋だ。前半からアグレッシブな姿勢を打ち出してきたジュビロ磐田に対し、防戦となる時間帯は少なくなかった。前半終了間際にはピンチの連続。そのたびに林がビッグセーブでゴールを死守した。異例のアウェー8連戦の最後を3連勝で飾る勝利。ディエゴ・オリヴェイラのPKによる1点を守り抜いて掴んだ勝点3は、林の好守抜きに語れないだろう。


 しかし試合後、取材エリアに現われた林の表情は、勝者のそれではなかった。もちろん、最下位の磐田も残留が懸かっている。順位に開きがあるとはいえ、「簡単に勝点3を獲れないと思っていた。しっかりゼロで終われたことは良かった」と安堵した部分はある。ただそれでも、林には納得のいく試合ではなかったようだ。

「個人的にはもっとチームに影響を強く及ぼすことができるポジションだと思っているし、ハイボール処理とか一つひとつのプレーにもっと安定感を出せる部分はある。守備範囲をもっと広げられるとも思う」

 チームの勝利とともに、GKとしてまだまだ高みを目指したい――。林の言葉からはそんな気概も窺える。だからこそ、「セーブできたシーンだけをフォーカスせずに、自分のダメだった点を反省したい」という言葉が、首位に立った直後でも出てくるのだろう。


 磐田戦の終盤、猛攻を受けながら粘り強く守り切ったシーンでも「最後の方は相手もパワープレーになっていたけど、あれも自分たちのなかで掌握したなかで攻められているなら分かるのですが、あっぷあっぷになっていた部分もあった。相手のホームゲームですけど、その中でもしっかり自分たちで収めていかないと。そこら辺がまだまだ」と、チームの戦いぶりにも厳しい目を向ける。

「本当に一喜一憂せず、最後に1位にならないと何もならないので」
 クラブ史上初のリーグ優勝を掴むまで、守護神の辞書に"気の緩み"という文字はなさそうだ。

取材・文●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb)

【磐田 0-1 FC東京 PHOTO】初優勝へ向け試練のアウェー8連戦は3連勝フィニッシュで、首位再浮上!
 

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