“ワカツキ”の衝撃とメキシコ戦の後悔。一躍世界の注目を浴びた若月大和はU-17W杯で何を掴んだのか?

2019年11月07日 松尾祐希

裏のスペースを徹底的にケアされ、背負ってパスを受ければ「当たりは本当に強かった」

手応えとともに課題も掴んだ今大会。このW杯を機に、若月はいかなる成長曲線を描いていくのか楽しみだ。(C) Getty Images

 試合後のミックスゾーン。若月大和(桐生一)は誰よりも悔しかったはずなのに、自分の言葉で逃げずに今の気持ちを口にした。

「今回のワールドカップでは、守備陣が無失点に抑えてくれていた。だけど、失点はあって当たり前。その中でふたつのゴールを許してしまったけど、攻撃陣が得点を取って盛り上げないといけなかった。自分のところに何本もチャンスが回ってきたけど、それを決められない。それが一番の課題で後悔している」


 4日に行なわれたメキシコとのラウンド・オブ16。日本は為す術なく、0-2で敗れた。試合前に突然襲った雷雨、負ければ終わりの一発勝負の難しさ。ノックアウトステージに入り、ギアを一段上げてきた相手。様々な要素が絡み、日本の勢いは鳴りを潜めてしまう。ボール支配率は64パーセント。だが、攻守で本来の良さを出せずに90分が終わった。それは若月にも言える。

「自分が空いたスペースを狙った時に、相手が1枚付いてくるのでやりにくさはあった。それでも背後を狙おうと思って、何回も行ったのですが……」

 相手が自身のスピードを警戒し、裏のスペースを徹底的にケアしてきた。何度も最終ラインの背後を狙ったが、思うように受けられない。であれば、他の手段で攻撃の起点になるべく、DFを背負ってパスを受けようと試みた。

「警戒されていたし、後ろを向いた時の相手の当たりは本当に強かった。苦しい状況で味方をどう生かすのか。本当にそのプレーが大事だった。いつもであれば、自分が裏を取ってドリブルを仕掛けられる。今日の試合はやっぱり自分が起点になって、周りを生かせれば良かった」

 若月の言葉通り、メキシコの守備陣は一枚も二枚も上手だった。余裕を持ってボールに触らせてもらえない。先にパスを受けても、わずかな隙に体勢を崩されて良い形でシュートを放てなかった。

 結局、最後までネットを揺らせず無得点。放った幾つかのシュートは、すべて空砲となり、うなだれるしかなかった。

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