【岡山】「アイツに取らせてやりたい」J1参入PO争いへ、得点ペースは落ちてもエースへの信頼が揺るがぬ訳

2019年11月07日 寺田弘幸

チーム得点王のイ・ヨンジェが7試合連続無得点。しかし指揮官、チームメイトの反応は…

39節終了時で、リーグ3位タイの18ゴールを決めるイ・ヨンジェ。ラスト3試合で爆発なるか。写真:滝川敏之

 今季18得点でチーム得点王のイ・ヨンジェの得点が止まっている。

 前半戦の21試合は12得点を奪うハイペースで得点を重ねてきた背番号9は、後半戦の初戦となった22節・琉球戦で2得点を挙げて勝利に貢献し、24節の甲府戦でも2得点を奪って岡山をクラブ史上初の4連勝に導いた。後半戦もさらなるゴールラッシュが期待されたが、その後の15試合で奪った得点は2つのみ。著しくペースダウンしており、現在は32節・岐阜戦で得点を奪って以降、7試合連続で得点を挙げられていない。

 39節・鹿児島戦をスコアレスドローに終えた後、イ・ヨンジェは「俺が点を取らないと・・・」と力なくつぶやいた。しかし、決して俯いてはいない。「ストライカーとして最近はゴールを決められていないのでモヤモヤした気持ちはありますが、チームの成績は悪くないことをポジティブに捉えて次の試合に向けて準備していきたいです」。自分に言い聞かせるように語って次戦へと気持ちを向けていた。

 イ・ヨンジェの得点はチームにとっても待望だ。J1参入プレーオフ争いの渦中にいる岡山は1得点でも多くの得点が欲しい状況だが、有馬賢二監督は得点のないイ・ヨンジェに対しても大きな信頼を寄せている。鹿児島戦後の記者会見でも指揮官はイ・ヨンジェの攻守における貢献度を高く評価し、チームが得点力を発揮できるシーンを創出していくことの重要性を語った。

「彼自身はよくボールを追ってくれているし、キープもしてくれている。ちょっとズレるときもありますけど前で起点になってくれていますし、ヨンジェが今できることはやってくれている中で、前向きで飛び込ませてあげられるようなシーンを作ってあげたい。そのためにはもうちょっとサイドの工夫だったり、えぐれるシーンを作っていきたい」

 チームメイトのイ・ヨンジェへの信頼もまったく揺らいでいない。最後尾からチーム全体を見つめる一森純は力を込めて語った。

「『ヨンジェ取れねえな』っていう感覚はなくて、『アイツに取らせてやりたい』っていう感覚の方が強いです。隼斗もそうですけど、本当に一生懸命頑張ってくれる中で得点を取ってくれているんで、俺たちは本当に助けられている。なので、もちろん無失点に抑えることを大前提にして、いいボールをアイツらに供給することをチームとして取り組んでいきたいです」
 

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