【戦評|大分×FC東京戦】盤石の2-0。特筆すべきは大分の強みを打ち消した“2トップの頑張り”

2019年11月03日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

森重と渡辺の守備も光った

大分戦でチェイシングが光った永井。勝利の立役者のひとりだ。写真:Jリーグフォト

 11月2日に昭和電工ドーム大分で行なわれた大分×FC東京戦は2-0で終了。勝ったFC東京はこれで勝点3を積み上げ、首位の鹿島と再び勝点で並んだ。大分戦でのパフォーマンスから判断するかぎり、J1リーグ優勝への期待は多少なりとも膨らんだのではないだろうか。

 大分戦でなにより素晴らしかったのは、ディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑が組んだ2トップのチェイシング。GK高木駿を含む最終ラインでの組み立てが肝の大分に対し、D・オリヴェイラと永井は立ち上がりから相当なプレッシャーをかけたことが試合の流れを決定づけたからだ。

 事実、FC東京は困惑気味の大分を横目に、前半5分にまんまと先制。髙萩洋次郎のロビングに反応した永井が中途半端に飛び出してきたGK高木をあっさりとかわしてほぼ無人のゴールに蹴り込めたのも、大分の守備陣が乱れていたからに他ならない。

 こうして勢いに乗ると、7分には三田啓貴のCKに合わせた渡辺剛のヘッドで追加点と、FC東京は10分も経たないうちに2-0とした。

 大分の守備陣にプレッシャーをかけて混乱を誘ったという意味で、やはりD・オリヴェイラと永井の働きは特筆に値した。

 大分の特徴のひとつはGK高木も含む最終ラインからの組み立て。そこを潰されて、むしろピンチを招くシーンが増えた展開を考えると、この日に限れば大分の強みは打ち消されていた。

 要するに──。FC東京の2トップはGKの高木にプレッシャーをかけたかと思えば、すぐさま戻って大分に数的優位な状況を作らせないようにしていた。本来ならGKまで本格的に組み立てに加わる大分が優位に試合を進められる局面で、FC東京は2トップの機動力を生かして相手の動きをほぼ封じていたのだ。

 大分のGK高木が、永井のスピードに「面を食らった部分はある」とコメントしていたのがなにより印象的だった。

 それだけ永井とD・オリヴェイラのプレスは強烈だったし、実際、長谷川健太監督も試合後に「なんといっても2トップがよく走ってくれた」とコメントしていた。GK林彰洋も「2トップの献身は素晴らしかった」と話していることからも分かるように、大分戦では前線からの守備が明らかにハマっていた。
 
 サッカーでは2点差が一番危ないとも言われるが、大分戦の「2-0」は盤石。サイドは多少侵入されても中央部では絶対にやらせないというCBコンビ(森重真人と渡辺)の守備も光り、大分に付け入る隙をほぼ与えていない。

 終盤は攻め込まれているように見えたものの、FC東京の選手に焦りの色はなかった。「中央さえやられなければ」というCB渡辺のスタンスが示すように、FC東京は最後の局面でしっかりと身体を張ってブロックしていた。苦し紛れというよりも計算しつくされた守備で──。

 他の選手に目を向けても、東慶悟は相変わらず運動量豊富で、髙萩と橋本拳人のボランチコンビはアグレッシブ。三田はセットプレーで魅せるし、室屋とオ・ジェソクの両サイドバックも大きなミスはなかった。無失点に抑えたGK林も含め、この日のFC東京は素晴らしい試合運びを見せた。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事