「W杯はそんなに簡単じゃない」U-17日本代表、森山監督が語るアメリカ戦で払った“授業料”

2019年10月31日 松尾祐希

簡単に事は運ばなかった

2試合を終えて1勝1分けとした日本。最終戦で首位のセネガルと対戦する。(C) Getty Images

 衝撃を与えたオランダ戦から早3日。アメリカから勝利を奪い、ノックアウトステージ進出を決めたかったが、簡単に事は運ばなかった。

 ブラジルで開催されているU-17ワールドカップの第2戦、森山佳郎監督率いる日本代表はスコアレスドローに終わり、勝点1を得るに止まった。

 日本はオランダ戦同様に4−4−2で臨んだものの、先発メンバーは2名変更。FWの西川潤(桐光学園)とボランチの田中聡(湘南ベルマーレU-18)がコンディションの問題でスタメンを外れた。代わって指名されたのはFWの唐山翔自(ガンバ大阪ユース)と右サイドハーフに入った田村蒼生(柏レイソルU-18)。

 そして、初戦で右MFを担った成岡輝瑠(清水エスパルスユース)がボランチにスライドし、キックオフを迎えた。ただ、オランダ戦で見せた若月大和(桐生一高)の快足を生かした攻撃は鳴りを潜め、苦戦を強いられる場面が散見。最後までゴールは奪えなかった。

 オランダ戦で圧巻のパフォーマンスを見せた日本が、何故アメリカ戦で沈黙したのか。理由は相手に警戒されていたからに他ならない。

「相手は日本を完全に消しに来たし、(エースの)レイナをスタメンから外してかなり守備的だった。前から相手FWが追い回し、常に僕らにはプレッシャーが掛かっている状態。それをいなせたら良かったけど、なかなかそれはできなかった」(森山監督)

 指揮官が振り返った通り、オランダ戦を踏まえ、アメリカは守備重視の布陣を敷いてきた。その象徴がシステムの変更とエースのベンチスタートだ。初戦ではアンカーを置く4−3−3を採用したが、この日はダブルボランチの4−2−3−1を選択。10番のジョバンニ・レイナも先発から外し、前からアグレッシブにプレスを仕掛けた。最終ラインも日本ボールになると、背後のスペースをケア。実に用心深く戦い、日本の強みを消しに来た。

 一方の日本はオランダ戦で守備に重きを置いていたが、アメリカ戦はボールポゼッションを高めながら、FW陣の個性を生かすスタイルを選んだ。それは前日練習の内容や技術に長けた藤田譲瑠チマ(東京ヴェルディユース)と成岡を中盤の底に並べた点からも分かる。しかし、いざ試合が始まると想定と違った。

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