2004年10月のエスパニョール戦で、ベールを脱いで以来、バルセロナのリオネル・メッシは、様々な功績を残してきた。そんな偉大なクラックの才能を引き上げたとされるのが、現在マンチェスター・シティを率いているジョゼップ・グアルディオラだ。

　現役引退後にバルサのBチームを経て、2008-09シーズンからトップチームの指揮官に就任したグアルディオラは、シャビ、アンドレス・イニエスタ、ジェラール・ピケに加え、ペドロ・ロドリゲスやセルジオ・ブスケッツといったカンテラ出身の選手たちを主力にしてチームを構築。ラ・リーガ３連覇（08-09シーズン～10-11シーズン）や２度のチャンピオンズ・リーグ制覇（08-09、10-11）を達成して黄金期を築いた。

　歴代最高のチームとも評された当時のバルサでも大黒柱を担っていたメッシを、グアルディオラはどう思っていたのか？ スペインのラジオ局『Catalunya Radio』で、当時を次のように振り返っている。

「私はチームの関係者から『とんでもない選手がいる』と言われていたんだ。『彼はとても若いが、多くのゴールを決めるし、とても良いよ』とね。私はメッシのことを全く知らなかったんだが、ある日、父親とナイキショップにいるところを見かけたんだ。とても驚いたよ。小さくて、シャイに見えたし、『私が聞かされたのは彼のことか？』と思ってしまった」

　しかし、ピッチ上でのメッシの姿を見て、懸念は一気に吹き飛んだという。スペイン人指揮官は、こう続けている。

「そのシーズン、我々はスコットランドでプレシーズンを始めた。そして、６-１、５-０といずれも圧勝した。この試合で彼は３ゴールずつを決めたんだ。この時に、『彼がいれば我々はすべてを手に入れられる』と感じたよ」

　その確信通りに全てのタイトルを手にしたグアルディオラは、「メッシがいなかったから勝てなかった指導者もいる。私は幸運にも、彼に加えてシャビやイニエスタ、ピケらがいた完璧な時代に巡り合えた」と自身の声価を高めた偉大な教え子への感謝を口にした。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部