「ありえないスピード」で夢を叶え続けるエムバペ。バロンドール受賞はいつ?

2019年10月29日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

ここまで駆け足で夢を叶えた選手もいない。

17年夏に移籍したパリSGでも、圧倒的なパフォーマンスを見せるエムバペ。(C)Getty Images

 キリアン・エムバペほど「スピードスター」の称号が似合うフットボーラーはいないだろう。

 その圧倒的なスピードは、まるでターボチャージを搭載しているかのようだ。5メートルのダッシュから50~60メートルのロングスプリントまで、あらゆる状況で相手をぶっちぎる。まだ18歳だった17年12月には、短距離走の世界記録にも匹敵する瞬間時速44.7キロメートルを叩き出している。

 そうしたプレーの特長と同じく、そのキャリアもまさしく圧倒的なスピードだ。ここまで駆け足で夢を叶えてきたプレーヤーはそうはいない。まさに「DREAM SPEED」だ。

 パリ郊外のボンディで生まれ、5歳で父ウィルフリッドが監督を務めるASボンディで本格的にサッカーを始めた。その才能は当時から際立っており、13歳でチェルシーの練習に招待されるほどだった。

 そして2011年9月、13歳でINFクレールフォンテーヌに入学。パリ郊外にあるクレールフォンテーヌは、言わずと知れたフランスが世界に誇るエリート養成機関だ。
 
 クレールフォンテーヌでもすぐに際立った才能を発揮したエムバペは、すぐにヨーロッパ中のメガクラブを巻き込んだ争奪戦になる。母国の英雄ジネディーヌ・ジダンの誘いを受けて、レアル・マドリーにも招待された。施設を案内してくれたのは他でもないジダンで、小さい頃から憧れてやまなかったクリスチアーノ・ロナウドとのツーショット写真も手に入れた。
 それでもマドリーの誘いを断り、エムバペは14歳でモナコと契約する。両親もこの年齢での国外移籍には消極的で、もっと伸び伸びと才能を育めそうなより小規模なクラブでのプロキャリアスタートを望んでいたという。

 そして、15年12月2日のカーン戦でプロデビュー。16歳347日でのデビューは、あのティエリ・アンリ(17歳257日)の記録を更新するクラブ史上最年少記録だった。

 さらに16年2月20日のトロワ戦では、プロ初ゴールを記録。17歳62日での初ゴールは、これまたアンリ(17歳254日)のレコードを更新するクラブ史上最年少記録だった。

 その4か月後のU-19欧州選手には、5試合で5得点を挙げて優勝に貢献した。しかも、2つも飛び級となる17歳でだ。

 さらにU-20代表とU-21代表とすっ飛ばし、そのままA代表に駆け上がり、17年3月25日のルクセンブルク戦でA代表にデビュー。18歳3か月5日での初キャップは同国で2番目に早く、フランスが初優勝した98年以降の生まれでは初のA代表選手となった。

 2016-17シーズンはモナコで、リーグ・アン優勝とチャンピオンズ・リーグ(CL)のベスト4進出に貢献。そして17年8月31日、パリSGへの移籍が決まる。ボーナス込みの移籍金1億8000万ユーロ(約225億円)は、ネイマールの2億2200万ユーロ(約278億円)に次ぐサッカー史上2位、ティーンエージャーでは史上最高額だった。

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