【横浜FC】移籍後3度目の先発起用に一発回答! 中村俊輔が証明した自らの存在価値

2019年10月28日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

速攻か、保持か。その判断をしながらゲームメイク

自慢の左足を一閃して強烈なミドルを突き刺す。チームとして重要なゲームと捉えられていた東京V戦で、俊輔が待望の移籍後初ゴールを決めた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J2リーグ38節]横浜FC2-1東京V/10月27日/ニッパツ

 ひとつの試金石になる、重要な試合だったはずだ。ここでインパクトを残せるのか。チームの勝利に貢献できる何かを示すことができるのか。

 結果的に、中村俊輔はその両方を掴み取った。9月22日の33節・町田戦から、3試合連続でベンチ入りも出場なし。さらに36節・金沢戦からは2試合連続でベンチ外。1か月近く実戦から離れていた男が、10月27日の38節・東京V戦で先発に名を連ねた。

 チームは前節の京都戦で0-3の完敗。実に19試合ぶりの黒星である。昇格レースもいよいよ佳境に差し掛かっているなかで、連敗するわけにはいかない。それだけ重要なゲームだった今節の東京V戦で久々にピッチに立った俊輔は、「プレッシャーはあった」と言うが、見事に期待に応えてみせた。

 26分、右サイドからのクロスを受けたワントップの皆川佑介の落としに反応。ダイレクトで左足を振り抜く。強烈なミドルシュートが突き刺さる。記者席の近くにいたサポーターが、思わず立ち上がって叫んだ。「シュンスケー!!」。待望の移籍後初ゴールが決まった。
 
 横浜FCはさらに54分、再び皆川のお膳立てから松尾佑介が追加点をゲット。その後、1点を返されるも、終盤の東京Vの猛攻を粘り強く撥ね返し、2-1で逃げ切った。

 俊輔は75分に途中交代するまで、ダブルボランチの一角としてテンポ良くパスを捌いて中盤を作りながら、正確なサイドチェンジを通し、守備では精力的に走り回るなど攻守に奮闘。チームを勢いづかせる先制点を含め、間違いなく、勝利の立役者だった。

 自分が抜擢された理由も、十分に理解していた。

「京都戦でもかなりボールを回されて、負けてしまった。今日もヴェルディに回されたけど、逆に俺と(佐藤)謙介みたいなタイプが(ダブルボランチで)起用されるってことは、いっぱいディフェンスしてくれ、じゃなくて、相手もボールを持つけど、自分たちもボールを奪ったら速攻なのか、保持するのか、その判断をしながらゲームを作るというか。そういうことだったと思うし、そこは意識した」

 ボランチでコンビを組んだ佐藤も、どちらかと言えば技巧派のMFである。テクニカルな部分に特長のあるふたりがミドルゾーンで並び、時に縦関係になりながら、ポゼッションに優れる東京Vに対抗。距離感を適度に保つ自陣でのブロック形成など、守備のタスクをこなしながら、マイボールにしたら確実性の高いパスワークでチームのリズムを整えた。

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