「二度とメディアの皆さんに言わせない」。中村憲剛が語る“ルヴァン杯制覇の意義”

2019年10月27日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

ようやく頂点にたどりつき「感無量」

悲願のルヴァンカップ制覇を果たした中村。写真:サッカーダイジェスト

ルヴァンカップ決勝/川崎3(PK5-4)3札幌/埼玉スタジアム2002


 ルヴァンカップの決勝で何度も負け、今回は勝ったとはいえ困難の道のりだった。だからこそ、中村はじっくりと喜びを噛み締める。

「感無量ですね。優勝でしか味わえない景色を見れたので。リーグ戦とは違ってルヴァンカップを制してあの場所(優勝カップを受け取るスタンド席の一角)にのぼるということは憧れもあったので、ようやくたどり着いたなと。個人的に(決勝は)4回目の挑戦でしたけど、勝てて良かったです。最高ですね」

 過去3度の決勝では「下から上をずっと見上げていた」。その悔しさを乗り越えてたどりついた表彰台にはやはり感慨深いものがあった。

「上から見た景色の素晴らしさは、それを経験した者しか分からない。やっぱりリーグ戦とはまた違った喜びがあります。一発勝負ですからね。勝つか、負けるかで本当に違う」

 なにより嬉しかったのは、これで「シルバーコレクターと言われなくなった」ことだ。

「二度とメディアの皆さんに言わせない。いや、もう言えないですよね。その意味で良かった。やっぱり、言われていましたからね。それを払拭しないかぎり、言われていただろうけど、これで決勝では点が取れないとか、もう言われませんね」
 
 振り返れば、川崎は昨季までルヴァンカップの決勝に4回進出しながらも、そのすべてに敗戦(2000年に鹿島、07年にG大阪、09年にFC東京、17年にC大阪に敗れている)。しかも、同カップ戦のファイナルの舞台で、チームは1点も決めていなかったのである。だから、中村は今回の札幌戦で"負の歴史"を払拭できたことに大きな意義を感じているのだ。

「シルバーコレクターと言われなくなるって実は大きなこと。これから『決勝で勝つ川崎』というイメージをつけていけば、クラブの歴史は大きく変わると思います。鹿島が決勝にきたときなんかは『決勝で勝つ』みたいな空気感をメディアの皆さんは作りますよね。鹿島かあ、なら優勝かあ、みたいな空気感を作るじゃないですか。少なくとも、こっちはそういうのを感じるんですよね」

 そんな鹿島のような空気感を川崎も身に付ける意味でも、札幌戦の勝利は大きかった。

「いろんなことが起こっても勝ち切ったといい経験が今後は活きるし、この決勝以上のことはなかなか起きないだろうというのが自信になる。選手が大幅に入れ替わらないかぎり、たぶんどの試合も自信を持って戦えます。カップ戦のチャンピオンになったのはとても大きいこと。また、このタイトルが欲しくなりましたし、頑張りたいです」

 リーグ戦を初制覇した際は初々しかった笑顔も、"タイトルコレクター"となった今では貫禄すら窺える。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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