【ルヴァン杯決勝】「全員かわしてやろうかと」。GK新井が振り返る“勝利のトライ”

2019年10月26日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

勝利のトライに秘められた想い

PK戦で大活躍したGK新井はMVPに輝いた。写真:サッカーダイジェスト

 ルヴァンカップ決勝/川崎3(PK5-4)3札幌/埼玉スタジアム2002

 正真正銘のビッグセーブだった。PK戦の5巡目、これが決まれば札幌の優勝という局面で川崎のGK新井が石川のキックをストップしたセーブは、まさに値千金だった。

「決められたら終わりという状況で止めることができたので良かったと思いました。(札幌5人目のキッカーの場面では)相手選手のほうがプレッシャーは強かったはずなので、こっちはそれを上手く利用して冷静にコースにだけは入ろうと考えていました。どっちに飛ぶかは足の向きとか、そういうので最後の最後で決めました」(新井)

 このPKのシーンに限らず、試合を通して「ボールはよく見えていた」という。「3点決められているので、喜べない部分はある」ともコメントした新井だが、札幌6人目・進藤のキックも止めた彼の働きはMVPに相応しいものだった。

 実を言えば、その新井は進藤のシュートをキャッチすると、ゴール前から突然走り出した。

「シュートを止めた直後、皆が僕のところに向かってくるので全員かわしてやろうかと思って、走りました(笑)。目立とうかなと。ボールを持って走っていたら、ラグビーみたいなだなと思ってトライしました」
 
なぜ"勝利のトライ"を決めたのか。新井は、日本戦に限らずラグビーの映像をかなり観ていたこともあり、「ラグビーの映像を思い出して」トライをしたのだ。ちなみに、ラグビーの映像はコンスタントに観ていて、そうすることでチームの一体感の重要性などを再認識しているという。

 トライに使った"ウイニングボール"をコーチから受け取った新井。ミックスゾーンで「どこに置くか?」と訊かれた守護神は、「トイレにでも置こうかな」と記者団の笑いを誘っていた。自身も微笑んだその表情からは勝利の余韻が感じ取れた。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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