まさに天国と地獄! 宿敵リーベルの勝利を祝って解雇されたボカ警備員に出来すぎたエンディングが…

2019年10月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

「“愛人”を祝福する特権を得る代わりに大きな犠牲を払った」

宿敵ボカとの因縁の対決に勝利したリーベル。その輪の中にひとりの“ファン”が混じっていた。 (C) Getty Images

 愛するクラブへの思いを爆発させた警備員が、思わぬ事態に見舞われた。

 現地時間10月24日に行なわれたコパ・リベルタドーレスの準決勝の第2レグで、アルゼンチンのリーベル・プレートは、宿敵ボカ・ジュニオルスと敵地ボンボネーラで対戦。試合には0-1で敗れたものの、第1レグを2-0でモノにしていたロス・ミリオネス(リーベルの愛称)は、2006年にサンパウロが達成して以来となる南米連覇に前進した。

 国中が熱狂するスーペル・クラシコ。昨シーズンのリベルタドーレス決勝での対戦では、サポーターの暴動によって延期となった末に、異例のマドリード開催となっていたため、今回は3000人の警官隊が動員される厳戒態勢で行なわれた。

 途轍もない緊張感が漂っていた試合後、ピッチ中央付近で輪を作って勝利を喜び合うリーベルの選手の中に、チームスタッフでもないひとりの男が混じっていた。アルゼンチン紙『Ole』によれば、その正体は、ガブリエル・ポルティージョというボンボネーラに勤務する警備員だった。

 記事によれば、実はリーベルのファンであったポルティージョさん。愛するクラブの勝利に居ても立っても居られずに職務を放棄し、気づいた時にはピッチに駆け出し、選手たちと喜びを分かち合ってしまっていたようだ。

 暴動から選手たちを守るはずの警備員が、我を忘れて持ち場を離れた。そしてなにより、リーベルのファンであったことを偽った事実が許されるはずもなく、ポルティージョさんは、勤務している警備会社を解雇されてしまったという。

「"愛人"を祝福する特権を得る代わりに大きな犠牲を払ってしまった」とはOle紙。そんな路頭に迷う男に手を差し伸べたのが、ほかならぬリーベルだった。同クラブは提携している警備会社「Tech3」に、失業中のポルティージョさんを雇うように連絡を入れたのだ。

 愛するクラブでの仕事をするチャンスを得たポルティージョさんは、アルゼンチン・メディア『LPM TV』のインタビューで、こう語っている。

「試合の翌日、会社に行ったらボカからクビを言い渡されたんだ。最初はなにがなんだか分からなかった。僕は人間らしく振る舞っただけだったんだ。この対応がなにを意味しているか分かるかい? ボカは人びとを簡単に追い出すようなところなんだよ。

 僕はリーベルがもう大好きでたまらないよ。選手たちとは写真も撮ったし、ドノフリオ(会長)とは握手もした。かなり近い存在だと思っている。今はまだ仕事を手にしたわけじゃないけど、彼らは僕を助けてくれたよ」

 まだ、警備会社と正式な契約は結んでいないものの、再就職には時間がかからないとされているポルティージョさん。彼がなぜボンボネーラで勤務していたかはいまだ不明だが、愛するリーベルでの仕事を得るチャンスを掴んだことは、まさに棚からぼたもちといったところだろう。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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