32歳でプロ初のハットトリックを達成した小池に宇賀神は嫉妬する――刺激とリスペクトでつながる同期という存在

2019年10月24日 佐藤亮太

「もう少し早いタイミングで活躍していたら、ウガはトップに引っかかった」

プロ初のハットトリックを達成した小池と浦和で10年目を迎えた宇賀神。互いに刺激し、リスペクトする存在だ。(C) SOCCER DIGEST

 10月中旬の全体練習後、浦和レッズMF宇賀神友弥がこうつぶやいた。
「嬉しい半面、悔しさもあって……。言い方は悪いけど、負けられないという表現としての嫉妬ですかね」

 宇賀神を嫉妬させた存在。それはJ2東京ヴェルディのMF小池純輝だ。

 J2リーグ36節、東京ヴェルディ(以下・東京V)は、アウェーでFC琉球と対戦。東京Vが5-1で圧勝した試合で、小池はプロ初のハットトリックを達成した。25分、41分、69分と、いずれも抑えの効いた技ありのシュート。さらに32歳でのハットトリックは、リーグでのクラブ最年長記録となった。

 小池と宇賀神はともに浦和レッズユース出身で同学年の間柄だ。

 当時の小池を宇賀神はどう見ていたのか。「あいつがいれば点を決めてくれる絶対的エース。シュートが巧く、高校レベルだけど得点感覚に優れていた」と言うほど、頼りになる選手だった。それでも「同級生には負けたくないし、互いに負けたくない意識はあると思う」と宇賀神は話した。

 一方、当時の宇賀神を小池はどう見ていたか?
「高校3年最後の高円宮杯でウガ(宇賀神)がすごく活躍した。僕が言うのもなんだけど、もう少し早いタイミングで活躍していたら、ウガはトップに引っかかったろうし、本当に紙一重だったと思う。同期の堤や(堤俊輔:鹿児島)、代志也(西澤代志也:沖縄SV)は先に昇格が決まっているなか、僕は夏休みの1か月間、トップチームで練習参加して、ぎりぎりでプロになれた」

 クラブは夏の時点で来季の昇格選手を決めていたことから、小池の"もう少し早いタイミング""紙一重"という言葉につながる。

 ユースチームを離れたふたりのサッカー人生は2006年を境に大きく分かれる。この年、トップ昇格した小池は09年、出場機会を求め、当時のザスパ草津に期限付き移籍。その後は水戸、東京V、横浜FC、千葉、愛媛を経て、再び東京Vと渡り歩き、今季J2で350試合出場を達成した。

 一方、流通経済大に進学した宇賀神は、"打倒浦和"を誓って研鑽を積むも、運命だったのか浦和の特別指定選手となり、2010年に加入。ここまでリーグ252試合に出場。18年3月には国際親善試合で代表デビュー。選手の入れ替わりの激しい浦和にあって10年目を迎えた宇賀神は"浦和のバンディエラ"となりつつある。
 

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