9月以降失速した柏に何があったのか?3発快勝の千葉ダービーで取り戻した“スタンダード”

2019年10月24日 鈴木潤

千葉ダービーでの布陣変更が劇的な変化をもたらした

千葉ダービーで7試合ぶりに左サイドハーフを務めた瀬川(写真左)。写真:徳原隆元

 9月以降の6試合で2勝1分け3敗と失速傾向に陥っていた柏だったが、前節の千葉戦では、夏場の11連勝を彷彿とさせる素晴らしいパフォーマンスを披露し、3-0の快勝を収めた。

 勝点が伸びなかった9月以降にいったい何が起きていたのか。まず、小池龍太の海外移籍に伴い、本来はアタッカーの瀬川祐輔を右サイドバックへコンバート。そして中盤の左サイドにはマテウス・サヴィオが入るのだが、ベンチに攻撃の駒を置いておきたいというネルシーニョ監督の意向から、ジュニオール ・サントスをサブに加えた。そのためオルンガ、クリスティアーノとで4つの外国籍選手枠が埋まり、ボールハンターとして中盤に君臨していたヒシャルジソンを外さざるを得ない状況になっていた。

 クリスティアーノもM・サヴィオも守備を怠る選手ではない。だが、瀬川が左サイドハーフに入った時のような強烈なプレスバックや、二度追いと比べると、守備の強度は明らかに下がる。
 
 堅守を誇る柏だが、布陣を変えた9月以降の6試合では10失点。鎌田次郎が「勝っている時と比べて少しずつ切り替えが遅くなっている」と話していたように、35節の横浜FC戦では、相手の素早いリスタートに対する切り替えの遅れが失点につながった。続く36節でも攻守両面の切り替えにおいて柏は水戸に圧倒されるなど、明らかに守備に綻びが生じていた。

 そして迎えた今回の千葉ダービー。6月から戦列を離れていた右サイドバックの高橋峻希が復帰したことで、ネルシーニョ監督は瀬川を7試合ぶりに左サイドハーフに戻し、ヒシャルジソンを5試合ぶりにスタメンで起用した。つまり、連勝時に近い布陣に戻したのである。

 この布陣変更が劇的な変化をもたらした。
 

次ページ攻守のキーマンとなっていた瀬川がボールを落ち着かせることで…

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事