「ひたむきな練習態度に驚いた」”神童”ウーデゴーが才能を開花させた「理想郷」 【現地発】

2019年10月17日 エル・パイス紙

シャビ・アロンソと話し込むことも

ついに覚醒したウーデゴー。9月のリーグ月間MVPに輝いた。(C)Getty Images

 季節は秋を迎えたというのに、レアル・ソシエダの周辺では花が咲き誇っている。チームの上げ潮ムードを牽引しているのがマルティン・ウーデゴーだ。弱冠20歳の若者は、近年記憶にないほどの特大の希望をソシエダのサポーターに与えている。

 ソシエダのファンも関係者も、ウーデゴーのサン・セバスティアン滞在が"期間限定"であることを当初から覚悟している。保有権を持つマドリーとかわしたレンタル期間は2年間。しかもその株の上昇とともに、前倒しで復帰する可能性も取り沙汰され始めている。

 もっとも、指揮官のイマノル・アルグアシにとってはこの活躍はある程度織り込み済みだったようだ。彼はその印象をこう話す。

「獲得する前から十分に調査を行なっていた。どんなプレーをしていたのか、チームでどんな役割を担っていたのをね。むしろ我々を驚かせたのは日頃のひたむきな練習態度だ」
 
 ソシエダがホームタウンにするサン・セバスティアンは小ぢんまりとした風光明媚な街だ。ノルウェー代表MFは、この新天地で「理想郷」ともいえる環境を手に入れた。本人の言葉がそれを裏付ける。

「マドリードなんかと比べてもとても静かで、僕にはピッタリだ。街の人々もリスペクトを持って接してくれる」

 ウーデゴーは兄弟のクリストフと一緒にアノエタ・スタジアムからほど近くの、スビエタ練習場からも車で15分ほどの距離にある高級住宅街で暮らしている。ちなみにその邸宅は昨シーズンまでソシエダでプレーしていたエクトル・モレーノ(今夏カタール・リーグのアル・ガラファへ移籍)から譲り受けたものだ。

 全体練習が終わってからジムで汗を流した後、トレーニング場に隣接する食堂でランチを取るのが日課だ。ジムではマドリーのOBで、今シーズンからBチームを指揮するシャビ・アロンソと遭遇することも珍しくなく、流暢なスペイン語を駆使して様々な話をしている。ウーデゴーはスペイン語の能力をさらに高めたいと考えており、午後に週に数回レッスンを受けている。

 ウーデゴーがマドリーに鳴り物入りで入団したのは2015年1月、16歳の時だった。しかし話題先行の印象は否めず、直後に配属されたカスティージャ(Bチーム)でさしたるインパクトを残すことなく、2年後にエールディビジのヘーレンフェーンに武者修行に出された。

 そこで1年半過ごし後、昨夏は同じくエールディビジのフィテッセへレンタルで移籍した。年々、パフォーマンスを向上させ、ノルウェー代表でも常連メンバーになっていたが、その活躍ぶりはスペインではほとんど伝えられることはなく、存在すら忘れ去られていた印象もあった。
 

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