モウリーニョとの違いは? 72歳の大御所ホジソンがプレミアで監督を続けられる理由【英国人記者の眼】

2019年10月07日 スティーブ・マッケンジー

キャリアは8か国・43年に及ぶ

御年72歳のホジソンは、老いてなおやる気に満ちており、チームをプレミアに舞台に留まらせている。 (C) SOCCER DIGEST

 10月5日(現地時間)にロンドン・スタジアムで行なわれたプレミアリーグ第8節のウェストハム対クリスタル・パレスの一戦。私は、愛するチーム(ウェストハム)の戦いぶりを楽しみにする反面、プレミアリーグ史上最年長の監督に会うことを心待ちにしていた。そう、アウェーチームを率いるロイ・ホジソンだ。

 ここ数シーズンのプレミアリーグにおける監督たちの顔触れは、新進気鋭の若手が増えている。フランク・ランパード(チェルシー)、オレ・グンナー・スールシャール(マンチェスター・ユナイテッド)、ウナイ・エメリ(アーセナル)、メガクラブを率いるこの3人は、いずれも40代だ。

 若い監督が重宝される理由のひとつとして考えられるのは、SNSなどのあらゆることに関心を抱きやすい若い世代の行動にある程度の理解を示すと同時に、プロとしての模範的な態度を示せるからだと、私は考えている。

 話は少し逸れたが、監督に求められることが変化してきている昨今のサッカー界で、72歳のホジソンはクリスタル・パレスの監督として3シーズン目を謳歌している。2017年9月にフランク・デ・ブールの後任として招聘され、降格危機に瀕していたチームを立て直し、プレミアリーグに留まらせてきた。
 北欧4か国にUAEなど8か国で43年にも及ぶ監督キャリアを築き上げてきた"大御所"が、時にオールドスタイルなサッカーが批判されながらも、いまだに第一線で必要とされるのは、その振る舞いに秘密がある。

 ホジソンの記者会見で毎回感じるのは、学校の先生を思い出させるその言動だ。常に落ち着いていて、物議を醸すような言葉は決して言わない。そして、質問が正しくないと感じた場合には、その場でジャーナリストに訊きただすのである。

 また、彼は公の場でチームに不平を言うこともない。少なくとも私は聞いたことがない。

 新戦力の獲得に満足な資金が与えられなかったとしても、ジョゼ・モウリーニョやマウリシオ・ポチェティーノのように不満を訴えることはない。メガクラブとの資金力の差を受け入れ、現有戦力で盤石の組織を構築する。自軍の選手たちを想い、彼らのために全力を傾けるのだ。

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