「クラブのやり口は分かっている!」重鎮ピケのフロント批判で明るみに出た、バルサ内部分裂の真相【番記者レポート】

2019年10月03日 エル・パイス紙

ロッカールームがフロントに圧力を?

重鎮のひとりであるピケが公然とフロントを批判した。(C)Getty Images

 バルセロナのキャプテンのひとりで、ストレートな物言いで知られるジェラール・ピケが、チームがアウェー初白星を挙げたヘタフェ戦の直後に痛烈なフロント批判を展開した。

「全員が一丸とならなければならない。俺が全員というのは、ファンもフロントも含むバルサに関わる全ての人間のことだ。クラブのやり口は分かっている。ご用達のメディアがいて、自分たちに都合のいい記事を書かせている。

 著名欄に別の人間の名前が記載されていても、実際に誰が記事を書いているのかも分かっている。でも、俺たちはそんなことにいちいち腹を立てている暇はない。いい試合をして勝つこと。不毛な争いには巻き込まれたくない」

 具体名を明かさなかったが、ピケが暗示しているのは、先月25日に『ムンド・デポルティボ』紙に掲載されたシャビエル・ボッシュ記者の記事と見られる。「ベストゥアリオ(ロッカールームの意味)はこうして全権を掌握した」と銘打たれたその記事には、過去11年間でラ・リーガを8度、チャンピオンズ・リーグを3度制覇し、クラブ史上最強の常勝軍団を形成している選手たちが、その過程の中で発言権を強めていった経緯について記されている。

 ボッシュ記者が具体例として列挙しているのが、ティト・ビラノバの後継者探し(ヘラルド・マルティーノが就任)、2015年の年明けに勃発したルイス・エンリケと一部の選手との衝突、ペップ・セグラGM(今年7月に退団)への反旗、エリック・アビダルのTD(テクニカル・ディレクター)就任、当時レアル・ソシエダに在籍していたイニゴ・マルティネス(現アスレティック・ビルバオ)獲得の見送り、アントワーヌ・グリエーズマンよりもネイマールの獲得を優先するプライオリティーの順序付けなど様々なオペレーションやエピソードであり、選手たちはいずれのケースにおいてもフロントに圧力をかけたと伝えている。
 
 記事には、さらに南アフリカで国際親善試合が開催(2018年5月)された際に参加した見返りとして臨時報酬を要求したり、ラ・リーガを制した時には、優勝ボーナスの支払いやサラリーのアップ、税金の一部の負担を求めたりと人事面以外でも選手たちは権力を行使したとある。

 加えて同じ怪我による戦線離脱でもサミュエル・ウンティティやルイス・スアレスと比べてウスマンヌ・デンベレへの風当たりが強いのも、ロッカールーム内でのパワーバランスが働いているためと指摘している。

「ベストゥアリオは時にSD(スポーツ・ディレクター)の役割を果たしている」

 ボッシュ記者は選手たちの一連の特権行使についてこう記述している。
 

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