「人生の中でも難しい時期を乗り越えてきた」ACL初ゴールのファブリシオが取り戻した”本当”の笑顔

2019年10月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

「前を向いて、ボールを見て、思い切り振り抜いた」

今季ここまでリーグ戦1ゴールだったファブリシオ。これからの終盤戦でゴール量産となるか?写真:徳原隆元

 陽気なブラジル人FWに本物の笑顔が戻ってきた。

 浦和レッズのFWファブリシオは、2日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦、広州恒大(中国)をホームに迎えたゲームの19分に、貴重な先制ゴールをマーク。チームは2-0で初戦を制した。

 浦和にはDFマウリシオ、MFエヴェルトンと、ファブリシオのほかに2人のブラジル人が所属し、彼ら3人はポルトガルのポルティモネンセでチームメートだった時期があった。しかし、どちらかと言えば寡黙な2人に対し、ファブリシオは日本人がイメージするブラジル人そのままのキャラだ。

 ファブリシオは昨夏の加入だったが、ゴール量産をしていた矢先の9月に左膝前十字靭帯損傷および、内側半月板損傷で全治7か月、手術を伴う大きな負傷で離脱してしまった。今シーズン前のキャンプではリハビリ段階だったが「チームメートと一緒にいたい。話しかけてくれるのが大きなモチベーションになるんだ」と、帯同しての調整を選んでいた。

 5月に復帰したものの調子は上がらなかった。天皇杯では8月14日の水戸ホーリーホック戦でPKによる2ゴールを決め、リーグ戦では同23日の松本山雅戦で復帰後の初ゴールを決めたが、「思ったようなプレーができていない」と、その表情も沈みがちだった。

 しかし、9月末になるとクラブスタッフが「最近のファブリシオは"キレキレ"だから」と話すほどに状態を取り戻した。そして迎えたこの広州戦、左サイドに進出した関根貴大のパスを受けると、反転して迷いなくミドルシュートを選択。

「前を向いて、ボールを見て、思い切り振り抜いた」と語る一撃は、スピード十分なうえにGKから逃げていくような弾道でゴールに吸い込まれた。他の選手では可能性を感じないような距離だったが、ファブリシオにとっては完全なシュートレンジ。そして「ミドルシュートは、毎日練習しているからね」と自負した。

 そして「ACLでの初ゴールが嬉しい。プレーすることが夢だった大会で決められた。さらにチームも無失点で、最高の1日になった」と、本来の笑顔を取り戻して喜びを語った。

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