偉大なる先達ギグスも絶賛! 不振のマンUを牽引する“急先鋒”――ダニエル・ジェームズ【プレミア逸材名鑑】

2019年09月30日 内藤秀明

12歳でサッカーを辞めようと…

両サイドを疾走し、ユナイテッドの攻撃陣を牽引するジェームズ。そのパフォーマンスは不振のチームにあって際立っている。 (C) Getty Images

 今シーズンのマンチェスター・ユナイテッドは、攻撃陣がピリッとしない。

 プレミアリーグでの総得点「8」は、ビッグ6の中では最小で、チェルシーとの開幕戦で4-0の勝利を飾ってからは、5試合で4得点と、1試合あたりの得点数が1点を下回る体たらくだ。

 ただ、不調にあえぐ攻撃陣のなかで孤軍奮闘し、チームを牽引している若きウインガーがいる。それがダニエル・ジェームズだ。

 現在21歳のウェールズ代表FWは、今夏の移籍市場で総額1800ポンド(約26億円)でスウォンジーからユナイテッドに加入すると、即座にチームにフィット。プレシーズンマッチこそ、やや遠慮気味にプレーしていた印象があったものの、開幕後は積極果敢にドリブルを仕掛けて存在感を発揮。全6試合に出場して3ゴールをゲットし、ファンの心を掴んでいる。

 プレミア初挑戦ながら注目の的となっているジェームズは、昨シーズンの開幕時点では、ほぼ無名の存在だった。これまでどんなキャリアを送ってきたのだろうか。

「ダン」の愛称で呼ばれる若者は、ウェールズではなくイギリス北部ヨークシャーで生まれ育ち、8歳でハル・シティのアカデミーに加入すると、すぐさま才能が開花。スピーディーなプレーに磨きをかけ、気づけば中心選手となっていた。

 だが、プロデビューするまでの道程は、順調ではなかった。精神的に落ち込む時期もあり、一時はサッカーを辞めようとも考えた。

 その理由を、ユナイテッド公式のインタビューで、こう明かしている。

「12歳の時はサッカーが楽しくなかった。学校が終われば夜は練習で、友だちと遊ぶ時間もなかったからね。僕は学校の友達を大事にしていたし、とても寂しく感じていたよ」

 結局、ハルのコーチ陣たちから熱心に引き止められたことで、サッカーを続ける道を選んだジェームズは、2014年に16歳でスウォンジーのアカデミーに移籍。その後は少し時間を要したが、昨年2月、FAカップでプロデビューを果たした。

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