「試合になってみると質の高さが…」PSV堂安律、初のフルタイム出場で得た明確な課題【現地発】

2019年09月26日 中田徹

指揮官はなぜ右サイドの先発に抜擢した?

古巣との一戦で初スタメンを飾り、久々にフルタイム出場を果たした堂安。ファン・ボンメル監督は試合後、そのプレーぶりを大いに讃えた。(C)Getty Images

 PSVアイントホーフェン対フローニンヘンの開始1時間前に配られたスタメン表に、堂安律の名前があった。
 
 試合当日、全国紙『デ・テレフラーフ』と地方紙『アイントホーフェン・ダッハブラット』が堂安の記事を大きく掲載するなど、8月まで所属した古巣との対戦はオランダでも大きな注目を集めていた。しかし、全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』を含めて、堂安の先発を予想した新聞はなかった。ヨーロッパリーグも戦う過密日程のなか、マルク・ファン・ボンメル監督はこの週半ばのオランダリーグ戦で4つのポジションのローテーションを敢行し、堂安を右サイドハーフの先発に抜擢したのである。
 
 堂安が縦にフリーランニングを試みれば、最終ラインからミドルパスが送られた。しかし前線では、味方からのコンビネーションパスがなかなか出てこない。堂安自身に気負いがあったのか、ボールタッチも普段より大きくなるシーンが幾度かあった。
 
 それでも35分頃からしばらく、堂安にボールが集まったり、みずから相手ボールを奪う時間帯があった。この時間帯に手応えを掴んだのか、それとも力みをなくすために意図したのか、笑顔を浮かべてプレーしていた。

 
 PSVは前半、フローニンヘンをサッカーの質でも圧倒。2-0でハーフタイムを迎えたが、後半、堂安の表情は厳しいものとなる。フローニンヘンが最後尾から我慢強くボールを保持しながら徐々にペースを掴みだし、1点差に迫ったのだ。PSVは時おり得意のカウンターを仕掛けるも散発気味。ようやくアディショナルタイムにブルマがダメ押しのゴールを決めて3-1とした。
 
 この最後のゴールシーンでは、堂安がステフェン・ベルフバインのヒールキックを受けてシュートを放つがブロックに遭う。続けてベルフバインのクロスに飛び込み、その裏のブルマをフリーにさせるなど、連続して堂安の良質な動きがあった。

 堂安にとっては、このような敵陣でのプレーの質をさらに上げ、回数を増やしていくことが、PSVでの過酷なポジション争いに勝ち抜く上で大事なポイントになるだろう。

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