歴史的大勝を飾ったマンC。MOMのB・シウバ以上に存在感を放っていたのは?【現地発】

2019年09月23日 加藤紀幸(ワールドサッカーダイジェスト)

誰よりも走って、走って、走り抜いた男

シティの大勝に大きく貢献したのは、最後まで走り続けた絶対的司令塔だった。 (C) Getty Images

 マンチェスター・シティがホームでワトフォード相手に8ゴールを叩き込み、歴史的な大勝を飾ったプレミアリーグ6節の一戦。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのは、15分、48分、60分とネットを揺らし、キャリア初のハットトリックを達成したシティのMFベルナウド・シウバだ。しかし、ジョゼップ・グアルディオラ監督のフットボールを誰よりも体現していたのは、ケビン・デ・ブルイネだった。

 開始53秒のダビド・シルバの先制ゴールをお膳立てしたピンポイントクロス、元イングランド代表GKベン・フォスターの頭上を抜いた85分の強烈な一撃など決定的な仕事で勝利に導いただけではない。なにより印象的だったのが、ほぼ大勢が決した試合終盤のパフォーマンスだ。

 とにかく、誰よりも走って、走って、走り抜いた。疲労が蓄積しているはずの時間帯に、前線から猛然とプレッシングを仕掛け、カウンターを受ければ自陣に全力で戻って守備に奔走する。味方が奪えば速攻の起点になり、あるいはスペースを突くフリーランでボールを呼び込んだ。

 88分には、中央からの豪快な突破で敵の守備ブロックをこじ開け、あわやというシーンを作り出してもいる。

 そもそも、試合前から意気込みが違って見えた。

 エティハドにバスが到着し、スタジアムのエントラスへと続くブルーカーペットを歩いて入場するときだ。多くの選手が、ブルーカーペットの両脇に列を成すファンが差し伸べる手にタッチしながら、ときには笑顔を振りまいてスタジアムに消えていくなか、デ・ブルイネの表情は険しかった。不愛想だった。

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