【横浜FC】自慢の配給力をどう活かす? 中村俊輔が考える“ボールの握り方”

2019年09月16日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「パスをいっぱい出すことが良いことじゃない」

大宮戦ではボランチでフル出場した俊輔。横浜FCの戦術にも「だんだん慣れてきた」と手応えを語る。(C)SOCCER DIGEST

[J2リーグ第32節]横浜FC0-0大宮/9月15日/ニッパツ
 
 古巣である横浜との天皇杯3回戦では、移籍後初の先発フル出場を果たしていたが、リーグ戦ではこれが初めて。大宮をホームに迎えた一戦で、中村俊輔はボランチで90分間を戦い抜いた。
 
 0-0のスコアレスドローに終わった大宮戦で、いかなるパフォーマンスを見せたか。レギュラーを確実なものとするだけのアピールはできたか。
 
 気づけば受け手が前を向いて持ち運べるように仕向けるリターンパス、高精度のサイドチェンジ、味方をスペースへと走らせるフィード、敵陣のタッチライン際に侵入すれば、巧みなフェイントで相手をかわして好機をお膳立て。チャレンジングなプレーでミスをしてピンチを招くこともあった。守備時の寄せの甘さも散見されたが、それ以上に持てる能力を見せる場面は多かった。
 
 もっとも、もう少しボールを握る時間帯があってもよかったのではないか。優れたゲームマネジメントでチームを動かすためにも、プレーに関与する回数を増やしたい。それができるキープ力もパスセンスも兼備しているのだから。
 
 しかし、俊輔の見解は違う。「握ればいいっていう感じではない」。その真意は?
 
「まずは、ワイドの選手を走らせることが大事。それがこのチームの良さでもあるし、相手からしてもすごく嫌だと思う。そのままゴールを取れたりもするから。だから、自分がもっといっぱいボールを持って、っていうのは違うかな」
 
 横浜FCの攻撃パターンのひとつが、スピードと縦への突破力に秀でる中山克広、松尾佑介、斉藤光毅らを活かしたサイドアタックだ。それを機能させるためにも、「相手の守備が整う前に」、ボランチからテンポ良く、スムーズに捌く必要がある。
 
「良いポジションにいて、ワンタッチ、ツータッチで。いかに効率良く、先にポジションを取って、相手陣地に入り込むか。パスをいっぱい出すことが良いことじゃない」
 
 もちろん、サイドアタックだけでなく、ボランチからの縦パスで局面を打開するなど、中央から崩すアプローチもある。その意味では、トップ下に強いこだわりを持つ俊輔だが、国内トップレベルの配給力を備えるだけに、ある意味、ボランチもやりがいのあるポジションではないだろうか。
 
 昇格レースがいよいよ本格化してきたなかで、チームはこれまでの土台を大事にしながら、さらに成熟かつ進化しようとしている。そこで背番号46はどれだけ貢献できるか。昇格の鍵を握るキーマンとして、さらなる奮起を期待したい。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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