14位まで低迷した序盤戦から、“ACL枠”目前へ。C大阪はどうして生き返ったのか?

2019年09月14日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

この4試合で決めた8ゴールは、計7人が奪ったもの

浦和戦は2-1で勝利。リーグ4連勝を飾る。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ26節]浦和1-2C大阪/9月13日/埼玉スタジアム2002

 9月13日、セレッソ大阪が浦和レッズとの試合で見せつけたのは、チームとしての完成度の差だった。

 守備になれば、4バックと2ボランチだけでなく、両サイドハーフがプレスバックを怠らず、堅牢な壁を築く。その均整の取れたポジショニングは、トレーニングの積み上げを感じさせた。

 攻撃に関しては、司令塔の清武弘嗣を右ハムストリング筋の怪我で欠いているせいもあり、崩しの局面での迫力不足は否めなかったが、少ないチャンスをモノにする勝負強さがあった。ここぞとばかりに全体を押し上げ、シュート数6本のうち2本を決めたのは見事。

 勝ち越しゴールを奪ったのが、途中出場の田中亜土夢だという点も、チームの充実ぶりをうかがわせる。ロティーナ監督が「今季は交代で試合に出るたびに貢献してくれています。攻守において何をするべきか、チーム、試合の状況を理解して、やるべきことをやってくれています。その意味で、とても信頼している選手です」と称賛するのも、うなずける。
 

 前節の川崎フロンターレ戦で決勝点を奪ったのも、後半の途中から起用された鈴木孝司だった。さらに言えば、この4試合で決めた8ゴールは、計7人が奪ったもの。奥埜博亮(2得点)、丸橋祐介、水沼宏太、瀬古歩夢、鈴木、松田、田中だ。誰かひとりに頼るのではなく組織で戦うスタンスと、その体現度の高さは、得点を見ても分かるだろう。

「今は誰が出てもああいうチャンスを決められる選手はいっぱいいる。本当にチーム全体が良い雰囲気でやれているなと思います」

 先制ゴールを奪った浦和戦の後、松田が語った言葉は、強がりでもなんでもない。

 決してエキサイティングではないが、実にソリッド(堅実)なスタイルで難敵の浦和を下し、リーグ4連勝。26試合消化時点で5位にまで浮上し、ACL出場権を目前に捉えているのは、そうしたスタイルと戦術が浸透した結果だ。

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