ミャンマーから2点は物足りない?「点差」はそれほど重要ではない【小宮良之の日本サッカー兵法書】

2019年09月13日 小宮良之

たとえ10点を奪ったとしても…

この中島の先制点など幸先よく2点をリードした日本。その後もチャンスを作り出したが追加点は奪えなかった。写真:金子拓弥

<2点では足りない>

 それがミャンマー戦の総括と言えるか。格下相手にシュートの雨を降らせただけに、決定力に物足りなさは残った。課題の一つとして指摘されるのは当然だろう。

 しかしながら、ミャンマーを相手に大量10ゴールを叩き込んだとしても、強豪代表に勝てる確証にはならない。

「弱小相手には大差で勝たないと、強い相手には通用しないだろう」

 その認識は、少なくともサッカーにおいては本質からズレている。

 相手によって、プレーは大きく変わる。例えばブラジル代表やフランス代表のような強豪国は、ミャンマーのように技術的、体力的、戦術的な問題を抱えていない。必然的に、全く違う試合のアプローチになる。

 日本はミャンマーを相手に、前半から様々な形で攻撃を繰り出している。サイドから崩し、中央からコンビネーションを使って迫り、ロングボールも使用。あるいは出足鋭くセカンドボールを拾い、波状攻撃も見せた。

 16分、押し込んでからCKを取って、逆襲に出てこられたところを叩いて奪い返し、ショートカウンターを発動。中島翔哉がドリブルで持ち込み、豪快にフィニッシュした。26分、橋本拳人を中心にボールをつなぎ、縦パスからコンビネーションで攻め寄せ、最後はGKがはじいたところを堂安律がクロスを入れ、南野拓実がヘディングで突き刺した。2点のリードを奪った。

 少なくとも、序盤の出来には及第点が与えられる。ワールドカップ予選の初戦。少なからず緊張が走る試合で、申し分のない立ち上がりだった。

 そこから、試合はやや膠着した。理由はいくつかあるだろう。日本は敵地でリードし、無理をして攻める必要はなかった。また、試合前からの豪雨で、ピッチが滑りやすくなって偶然性が増していた(不測の事態に備えて前に出にくい)。
 
 一方、ミャンマーは危険なプレーが増えた。予想以上に強い相手に、思い通りにいかず、大きなストレスを抱えていたのだろう。カニ挟みタックルや体当たりなど暴力的で、怪我を誘うようなプレーが多くなった。

 残念ながら、ミャンマーは戦術的レベルも著しく低く、プレスも組織的にかけられていない。ブロックを作るのもままならず、後ろに引くだけ。ほぼ自由にパスやシュートを許し、1対1でもことごとく負けている。
 

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