アイドルはドログバ! 名門チェルシー・アカデミーが生んだ点取り屋/エイブラハム【プレミア逸材名鑑】

2019年09月09日 内藤秀明

補強禁止処分が追い風に

ランパード監督が率いる新生チェルシーでエースナンバーの9番を背負うのが、エイブラハムだ。 (C) Getty Images

 数多くのスーパースターが集うプレミアリーグ。その熱狂度とスペクタクルさは、欧州屈指だ。

 そんな熾烈を極める争いのなかに身を投じている旬なヤングスターをピックアップ。「プレミア逸材名鑑」と題して、いま注目すべきプレミアリーグの新鋭を紹介していく。

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 これまでチェルシーのアカデミーからは、数多くの将来有望な選手たちが輩出されてきた。しかし、ジョン・テリー以降、主力選手としてトップチームに定着した選手は、ほぼいないのが実情だ。

 ただ、今シーズンは、不遇をかこってきたチェルシー・アカデミー出身者にとって千載一遇のチャンスが巡って来ている。クラブがFIFAから補強禁止処分を受けたのだ。

 そして、この好機を射止めようとしているのが、テイミー・エイブラハムだ。

 ナイジェリア人の父とイギリス人の母の家庭に生まれたエイブラハムはU-8からチェルシー・アカデミーに所属している有望株だ。その才能を世に知らしめたのは、98試合に出場して74得点を記録した2014-15と2015-16の2シーズンだろう。この間にFAユースカップとUEFAユースカップを立て続けに制したチェルシーにあって、文字通り絶対的なエースとして君臨した。
 
 現在21歳の若手FWがお手本にしているのはディディエ・ドログバだ。同じCFであり、アフリカのルーツを持つクラブの絶対的レジェンドに憧れを抱くのは、当然のことだったかもしれない。ただ、それは単に境遇が近いからだけではない。当人は自身のアイドルとの思い出をこう語っている。
 
「初めて会ったトップチームの選手がドログバだった。8歳か9歳の時だったかな。チェルシーの練習場の外を1人で歩いていたんだけど、冬だからとても寒かったんだ。すると通りかかったドログバが、僕を車に乗せてくれて、グラウンドまで送ってくれたんだ! 僕はドログバからフットボーラーがピッチ外であるべき姿を学んだよ」

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