【パラグアイ戦検証】連動性を欠くも才能の傑出ぶりは明白… 久保建英の能力を最大限に活かせる布陣・役割は?

2019年09月06日 加部 究

個々が速やかな連動を見せて、効果的に崩せていたのは前半だった

パラグアイ戦では得点こそなかったものの、久保は随所に輝きを放った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 森保一監督らしく気配りが込められたスタメンだった。
 
 最近の成長度、充実ぶりを考えれば、久保建英の起用が妥当だった。だが監督就任時から採用してきた2列目のトリオは、当然完成度が高いし再度確認しておきたかったに違いない。またここで堂安律を外せば、モチベーションの低下も気になるところだ。一方日本代表の最年少得点記録がかかる久保は、相手が疲弊する後半から出す方がチャンスも広がる。実際久保は自ら「他に選択肢があるのにシュートを狙った」と語ったように、通常以上にゴールへの拘りを見せていた。

 
 結論から言えば、やはり個々が速やかな連動を見せて、相手を効果的に崩せていたのは前半だった。パラグアイがマンマークをベースとするのを見越して中島翔哉と堂安が敢えて中に入り、サイドバックが上がる外側のスペースを開けて2ゴールを奪っている。攻撃側が中央に集まり、マーカーを吸い寄せれば必然的に外が空く。先制点は、中央で中島と堂安が絡み、長友佑都が外をフリーで駆け上がったし、2点目も中島がバイタルエリアで持つと、堂安が右サイドから内側へ走って相手を引きつけ、外側の酒井宏樹がフリーになった。また16分にも同様のシーンがあり、堂安のフリーランに牽制されたパラグアイDF2人が動けず、右サイドを上がった酒井のパスを受けた大迫勇也は中央からフリーで狙っている。あるいは、自陣から中島と南野拓実がダブルでパス交換をしながらカウンターを仕掛けたシーンでは、1トップの大迫が右に流れたのを見て、堂安が空いた逆側のスペースへ走りGKと1対1の絶好機を築いた。
 
 円熟期に入った大迫のポストワークを活かしながら、2列目トリオが臨機応変にポジションを変え、スムーズにハイテンポで互いにスペースを作り、それを利用する。さらにパラグアイの守備陣の意識が中央に傾けば、両SBが悠々と駆け上がる。本来堅守を誇るパラグアイのコンディションが酷過ぎて、前半から球際も含めて日本が圧倒出来ていたのが、ある意味では誤算だったが、このレベルの相手なら十分に計算できる組織的な攻撃力は確認できた。
 
 逆に後半は互いにメンバーも代わり、さすがにパラグアイも相当に叱咤されて出て来たはずなので、日本代表も現状のスタメンが最善と結論づけるのは早計だ。まず後半早々には大迫を永井に代えたが、周囲が最前線のキャラクターの変化に対応できなかった。一方左サイドも中島から原口元気に代わった影響もあり、前半のように有機的なポジションチェンジがなくなり、久保のワンマンショーの様相さえ呈してしまった。
 

次ページ久保の仕事をサイドに限定するのは必ずしも得策とは思えない

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