【大分】24節まで全試合で先発していた小塚和季。なぜスタメンを外れた?

2019年09月01日 古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

「戦術的な交代です」(片野坂監督)

小塚は今季のリーグ戦で25試合・1得点・5アシストを記録。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ25節]松本0-0大分/8月31日(土)/サンプロ・アルウィン
 
 試合開始前、大分のメンバー表を見ると常にスタメンを張ってきた選手がいない。小塚和季がベンチスタートだったのだ。
 
 小塚は今季の新加入選手ながら大分のサッカーにすぐさまフィット。シャドーを主戦場とし、創造性のあるパスで数多くのチャンスを演出しており、アシスト数はチームトップの5を記録していた。リーグ戦では24節まで全試合で先発していることから分かるように、もはや代役不在の不可欠な存在なのだ。なのになぜ――。
 
 試合後、大分の片野坂知宏監督にその理由を訊いてみた。
 
「小塚に関しては決して悪い訳じゃないです。ただ小塚のプレースタイルと(松本)山雅さんに向けての戦術のところで小塚をスタートで使うよりは、違う選手を使ったほうが今日のゲームに関しては活きるのではないかと思いました。戦術的な交代です」(片野坂監督)
 
 代わりにシャドーで先発したのはティティパンと今夏の新加入の嶋田慎太郎。球際で激しく戦い、攻守においてハードワークする松本に対して、小塚の創造性ではなくティティパンのフィジカル、嶋田の俊敏性を活かすという策に出たのだ。
 
 そのなかで「小塚に関してはシャドーもボランチもできます」と片野坂監督が話す通り、70分頃に島川俊郎が負傷し、ボランチとして急きょ出場。片野坂監督も「常に小塚のプレースタイルっていうのを考えながら」戦況を見つめていた。ただ、あくまで「色々なプランがあったなかでどういう風にするのか」迷ったなかで「相手の状況を見て」の起用だったという。
 
 それでも、ゴールまえでふわりと浮かした"らしい"パスを見せれば、的確につないでボール回しを円滑にし、やはり他の選手にはない特徴で違いを生み出した。一本のパスで優位性を取る、質的優位をチームにもたらしたのだ。
 
 ここ6試合勝ちなしで勢いが落ちてきた大分。ボールは支配できているだけにあとは決定的なシーンをいかに作れるか。序盤戦に続き、小塚のプレーが今後も鍵を握る。
 
取材・文●古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)
 
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