海辺のBBQ後の快勝劇!「奇跡を起こしにいこう」と言った指揮官の下、長崎はJ2終盤戦の台風の目になれるか?

2019年08月28日 藤原裕久

4連敗となった柏戦の翌週、手倉森監督は今季初めて優勝以外の順位を口にした

復帰した山口戦ではゴールを決めるなど、活躍を見せた玉田。終盤戦の巻き返しへ、ベテランの力も必要になるはずだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 リーグ戦も残り3分の1を切った29節終了時で12位と、苦戦の続く長崎だが、1年でのJ1復帰をまだ諦めてはいない。


 7月に鹿児島と甲府に連勝し、夏の反撃へ向けて期待を集めていたものの、3連勝を狙っていた愛媛、岐阜、琉球との下位相手の連戦でまさかの全敗。愛媛には4点を奪われ、岐阜と琉球には先制からの逃げ切りという必勝パターンを切り崩されたことは、チームに大きな動揺を与えた。

 続く柏との一戦にも敗れたチームの順位は13位にまで下降。首位との勝点差は21となり、長崎が目標に掲げてきた優勝の可能性は、限りなく遠いものとなってしまった。

 柏戦の翌週、手倉森誠監督は「最低でもJ1昇格プレーオフに入り込んでいこうという現実的な話もしている。ただ2位以内を狙っていかないと、6位以内もない」と、今季初めて優勝以外の順位を口にした。

 強気な手倉森監督にとって、目標の下方修正を口にすることは不本意以外のなにものでもない。だが今の状況を謙虚に受け止めて、意識を高めていかないと、この状況からは順位が高まっていかないという危機感が、あえて目標の修正を口にさせた。
 
 同じ頃、選手たちも巻き返しへ向けて動いていた。それは選手たちのみで集まっての海辺でのバーベキューという、夏のレジャー然としたイベントではあったが、このタイミングで集まったことは「もう一度みんなでひとつになる」という思いを強くさせた。

 ここまで長崎が苦戦した要因のひとつに、チームスタイルの変化に対する柔軟性の不足が挙げられる。手倉森監督が「誰が出ても、同じ力が出せるチーム作りをやってきたが、そこで戦術の浸透度が分散した。柔軟性を求めすぎて、強化のポイントを分散させてしまった」と振り返ったように、「堅守速攻」から「ポゼッションとカウンターの併用」へのスタイル転換に対応しきれていなかったのだ。

 それだけに、柏戦後に選手たちの意識がもう一度同じ方向へまとまったのは大きかった。柔軟性の不足を、互いにカバーし合う意識が強まったのだ。

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