反町監督には見えていた“浦和の隙”。痛快な逆転劇は偶然ではなかった

2019年08月24日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「今まで見ていた浦和の試合と少し違った」

反町監督は緻密なプランを見事に遂行。リーグ11試合ぶりの勝利に導いた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ24節]浦和1-2松本/8月23日/埼玉スタジアム2002
 
 松本山雅FCの約3か月ぶりのリーグ戦白星は、痛快な逆転劇だった。
 
 J1の24節で浦和レッズの本拠地、埼玉スタジアムに乗り込んだ松本は、前半から相手の積極果敢な攻撃に飲まれ主導権を握られる。19分には早々と先制点を献上した。
 
 後半途中までは、森脇良太、橋岡大樹、槙野智章という強靭な3バックの激しいタックルに苦戦して攻め手を見出せず、自陣ゴール前で必死にピンチを凌ぐのが精いっぱい。おそらく会場にいた多くの人が、このまま浦和が押し切ると予想していたはずだ。
 
 しかし、智将、反町康治監督は違った。明らかな劣勢に見えた試合をラスト25分に見事にひっくり返してみせるのだ。
 
 流れを変える大きな一手となったのが、65分の町田也真人の投入だ。
 
『間が空いているので、そこで持ち味を出してほしい。まだ時間もあるから頼むぞ』
 
 そう言って送り出したプレーメーカーは見事に流れを変えてみせる。「前半のうちからスペースが空いているな」と気づいていた町田は、積極的に中盤を動き回ってパスワークを活性化していった。「自分が『動いて叩いて』という動きを繰り返しているのを浦和は嫌がっていた」と相手に脅威を与えていった。
 
 すると75分、高橋諒のクロスに頭で合わせた阪野豊史のゴールで同点に。これで完全に勢いづいた松本はさらに、高橋の豪快なボレーシュートで勝ち越しに成功するのだ。
 
 反町監督は試合後、その戦略を明かしてくれた。
 
「先制されて難しかったというのが正直なところでしたが、オープンな展開にすると、2点目、3点目を取られてしまうので、後半の20分までは、このまま我慢しようとしました。それから町田也真人を入れて、少しペースを戻した。
 
 試合を見ていて、今まで見ていた浦和の試合と少し違った。中盤に大きなスペースがあった。2トップで向こうの最終ラインをあまり前に出させないようにさせて、ボランチと最終ラインのスペースを、セルジーニョと町田でうまくコントロールできればと思っていました。それが少しずつ奏功して、我々がハーフラインまで持ち運んでルックアップしてできた」
 
 1点ビハインドでも焦らず、相手の状況を見極めて最後の25分で確実に突く――。敵地で浦和を下した痛快な逆転劇の裏には、指揮官の鋭い戦術眼と緻密なプランがあったのである。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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